習近平と張又俠「百日抗争」とは何か?PLA粛清の深層と、2月8日衆院選への“間接波及”

はじめに
ロシアや中東と並び、日本の選挙で「外部要因」として影響し得るのが中国情勢です。いま注目されているのは、人民解放軍(PLA)トップ級の人事激変――習近平国家主席(中央軍事委員会主席)と、軍内で長く実力者と見られてきた張又俠・中央軍事委員会副主席をめぐる動きです。
日本の一部メディアは、2025年10月下旬から約100日間のせめぎ合いを「百日抗争」と表現し、その帰結が2月8日投開票の衆院選にまで“空気”として作用し得ると指摘しています。
背景と概要
中国では近年、軍上層部の汚職・規律違反を名目とする粛清が続きました。2026年1月24日、中国国防部(国防部サイト/新華社配信)は、張又俠副主席と劉振立(中央軍事委員会委員・統合参謀部参謀長)が「重大な規律・法律違反の疑い」で立案審査調査に入ったと発表しています。
張又俠は習政権下で長く軍の中枢にいた人物で、調査開始の公表は「通常の更迭」を超える意味合いを持ちます。英紙FTは、この動きで中央軍事委員会(CMC)の運用が極端に縮小し、習近平がいっそう直接的に軍を掌握する構図になったと報じました。
現在の状況
1) PLAの“ナンバー2級”が調査対象になった衝撃
中国当局の公式発表は「重大な規律・法律違反」という定型表現にとどまっていますが、国際メディアは、これは実質的な失脚を意味し得ると解説しています。
また、米中の危機管理(軍同士の対話)に与える影響を懸念する見方も出ています。
2) “百日抗争”という見立ては、何を指しているのか
「百日抗争」は中国側が公式に使う言葉ではなく、日本側の政治・外交文脈でのラベリングです。日本経済新聞の解説記事(はてなブックマーク上の要約表示)では、習近平と張又俠の水面下の対峙を「百日抗争」と呼び、終盤の動きが日本の解散・総選挙日程と“奇妙に同期した”としています。
ただし、中国政治は情報の非公開性が高く、内部力学(誰がどこまで対立したのか、実態が権力闘争か反腐敗か)の断定は避けるべきです。確かなのは「CMC最上層の人物が公式に調査対象となった」という一点です。
3) 日本側は2月8日投開票の衆院選
日本では衆院選が1月27日公示、2月8日投開票の日程で行われています。
選挙戦の主要争点としては物価高対策や消費税(食品の扱いなど)が前面に出ていると報じられています。
注目されるポイント
1) 中国の軍上層部不安は「対外リスク」の読みを難しくする
上層部が揺れると、意思決定の透明性がさらに落ち、周辺国は“誤算リスク”を警戒しやすくなります。台湾側も今回の人事異変を「異常」として注視しているとロイターが伝えています。
日本の選挙でも、こうした不確実性は安全保障議論(抑止・同盟・防衛装備・経済安保)を刺激し得ます。
2) 「経済」から「安全保障」へ争点の重心が動く可能性
選挙は本来、物価や税といった生活テーマが強い局面ほど、外部ショックが入ると争点が移りやすい傾向があります。今回のような中国軍中枢の激変が続報を伴えば、有権者の関心が“景気・減税”から“危機管理・外交”へ一部移る可能性があります(影響の大きさは情勢次第です)。
3) 「強硬」か「対話」かの二項対立では整理できない
軍粛清が進む中国では、対外姿勢が必ずしも単純に「強硬化」するとは限りません。むしろ、内部統制の優先で慎重になる局面と、統制強化の結果として対外圧力が増える局面が交互に現れることもあります。日本側は、選挙後の政権運営で“抑止と対話の両輪”をどう設計するかが問われます。
今後の見通し
- 中国側:公式には「規律・法律違反の疑い」による調査ですが、国際報道では政治的含意や軍の指揮系統への影響が焦点です。続報(追加の処分、後任人事、軍の運用体制の変更)が出れば、市場・外交・安全保障の不確実性が高まり得ます。
- 日本側:2月8日の投開票を経て、物価高対策など国内議題が中心になる一方、中国情勢がさらに動けば「安全保障の説明力」が政権の重要な評価軸になりやすいでしょう。
- “連動”の実態:中国の権力闘争が日本政治を直接操作する、というより、外部環境の変化が日本の争点配列と世論の優先順位を変える――この意味での「間接波及」として捉えるのが現実的です。

