第3回JPIDDが東京で開催へ:太平洋島嶼国・パートナー28か国が集う防衛対話の焦点

はじめに

日本の防衛省は、太平洋島嶼国地域の国防大臣らと信頼関係を深める枠組み「日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)」の第3回会合を、2026年2月22日〜24日に東京で開催すると発表しました。今回は初めてASEAN各国がオブザーバー参加し、計28か国と1機関が出席予定です。会合にあわせて、フィジー、パプアニューギニア、トンガとの防衛相会談も行う予定とされています。

背景と概要

JPIDD(Japan Pacific Islands Defense Dialogue)は、防衛省が主催する多国間の安全保障対話です。目的は、太平洋島嶼国地域の国防当局間で相互理解を深め、信頼関係を構築し、今後の防衛協力・交流を進めることにあります。

この枠組みは2021年にオンラインで第1回が開かれ、2024年3月に東京で対面形式として初めて第2回会合が開催されました。第2回では、海洋安全保障(違法・無報告・無規制=IUU漁業、密輸・密航など)、気候変動と人道支援・災害救援(HA/DR)、宇宙・サイバー、偽情報などの「新たな安全保障課題」まで幅広い論点が扱われています。
また、防衛省は太平洋島嶼国側の「中心性・一体性・オーナーシップ」を重視しつつ、JPIDDを南太平洋国防大臣会合(SPDMM)や、首脳レベルの太平洋・島サミット(PALM)とも連動させていく考え方(「5点の協力コンセプト」)を示してきました。

現在の状況

第3回JPIDDは、東京都内(京王プラザホテル等)で開催されます。防衛省の発表では、太平洋島嶼国および地域のパートナー国が参加し、さらにASEAN各国が初めてオブザーバーとして加わります。参加規模が拡大することで、太平洋島嶼国地域と東南アジアをまたぐ安全保障上の課題(海上交通、災害対応、サイバー、情報環境など)を「地域横断」で共有しやすくなる点が特徴です。

また、会合にあわせて実施予定とされるフィジー、パプアニューギニア、トンガとの防衛相会談は、太平洋島嶼国の中でも軍を保有する国々との協力を具体化する場になり得ます。多国間対話(JPIDD)と二国間会談を同時に行う構成は、理念だけでなく実務的な連携の積み上げを狙う運営とも言えます。

注目されるポイント

  • 「ASEANオブザーバー参加」の意味
    太平洋島嶼国地域の課題は、島嶼国だけで完結しません。海洋の監視・法執行、災害時の輸送・支援、通信・サイバー、偽情報対策などは周辺地域との連携が成果を左右します。ASEANが関わることで、太平洋と東南アジアの安全保障協力を“つなぐ”議論が進みやすくなります。
  • 海洋安全保障が引き続き中心議題になりやすい
    JPIDDの過去会合では、IUU漁業や越境犯罪への対応、海洋状況把握(MDA)や海上法執行能力の強化が重要テーマとして扱われてきました。島嶼国は広大な排他的経済水域(EEZ)を抱える一方で、監視・取締りの人的・装備的制約を抱えがちで、実務支援の需要が大きい分野です。
  • 気候変動・災害対応が「安全保障」議題として定着
    太平洋島嶼国にとって気候変動や災害は、国家の存立に直結する問題です。防衛当局間の協力は、災害救援の即応性だけでなく、平時の訓練・計画・連携手順の整備にも広がります。太平洋諸国が掲げる地域ビジョン(PIFの「Blue Pacific」関連戦略)との整合も、議論の説得力を左右します。

今後の見通し

第3回JPIDDでは、共同声明の有無に加え、具体策(共同訓練、人材育成、情報共有、法執行支援、災害対応の連携手順など)がどこまで前進するかが焦点になります。とくに、参加国が増えるほど「総花的な確認」にとどまりやすい一方で、優先順位を絞った小さな合意(例:海洋監視や災害時連携の実務プロジェクト)を積み上げられるかが、枠組みの実効性を左右します。
また、太平洋島嶼国側には、過度な軍事色を警戒し「自国の主導権(オーナーシップ)」を重視する立場もあります。日本としては、島嶼国のニーズ(災害、海洋、経済・社会の強靭性)に沿った協力設計を維持できるかが、信頼醸成のカギになりそうです。

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