原油市場日報 2026年6月12日

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原油価格は大きく反落しました。Brentは90ドル台、WTIは87ドル台まで下がり、米国によるイラン追加攻撃の見送りが市場の空気を変えました。ただし、ホルムズ海峡の通航不安は残っています。日本のガソリン価格や物流コストにとっても、「原油高が終わった」と判断するのはまだ早い状況です。

きょうの値動き

米国時間6月11日の原油市場では、Brent先物が1バレル90.38ドルで取引を終え、前日比2.72ドル安、下落率は2.9%でした。WTI先物は87.71ドルで、前日比2.32ドル安、下落率は2.6%です。

取引時間中には、イランがホルムズ海峡の閉鎖を表明したことで原油価格が上昇する場面もありました。しかし、その後にトランプ米大統領が予定していた対イラン攻撃の中止を発表すると、相場は下落へ転じました。

なぜ動いたのか

主因は地政学リスクの一部後退です。トランプ米大統領は、イラン指導部や中東諸国との協議が進んだとして、追加攻撃を見送りました。米国とイランの和平合意は早ければ週末にも署名される可能性があり、署名後にはホルムズ海峡を再開するとの説明も出ています。

ただし、イラン側は合意の最終決定には至っていないとしています。ホルムズ海峡では商船の通航が一部続いているものの、イランは通過船舶への攻撃を警告しており、供給リスクが消えたわけではありません。同海峡は世界の原油・ガス輸送の約2割を担う要衝です。

需給面では、米原油在庫の大幅減少が下値を支えました。EIAによると、6月5日までの週の米商業用原油在庫は前週比720万バレル減の4億2650万バレルとなり、市場予想の減少幅を上回りました。

一方、需要面では弱材料もあります。OPECは2026年の世界石油需要の伸びを日量97万バレルへ下方修正しました。下方修正は2カ月連続で、中東情勢による燃料高が消費や企業活動を抑えるとの懸念が出ています。

この動きは一時反応か

今回の下落は、和平期待によるリスクプレミアムの剥落です。ただし、構造的な原油安に変わったと断定するのは早いです。

正式合意がまとまり、ホルムズ海峡の船舶通航が安定して増えれば、Brentは90ドル割れを試す可能性があります。一方、協議が再び行き詰まり、船舶攻撃や軍事行動が再燃すれば、原油価格は短期間で反発しやすくなります。いまの市場は、外交発言よりも実際の通航量を確認する段階です。

日本への影響

Brentの90ドル台前半までの下落は、日本の家計や企業にとって一応の安心材料です。ただし、円相場、タンカー運賃、保険料の高止まりが残れば、国内のガソリン価格や電気代がすぐに下がるとは限りません。

日本では、食品や日用品の物流費、航空運賃にも影響が及びます。原油価格だけでなく、ホルムズ海峡が本当に再開するかを見る必要があります。

明日の注目点

週末前の焦点は、Brentが90ドル台を維持するか、WTIが87ドル台で下げ止まるかです。最重要材料は、米国とイランの和平合意が正式に決まるか、ホルムズ海峡の通航再開が実際に確認できるかです。

週末中に合意署名があれば、週明けは原油価格がもう一段下がる可能性があります。反対に交渉が崩れれば、地政学リスクを買い直す荒い値動きが戻る可能性があります。

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