原油市場日報 2026年6月20日

週末前の原油価格は小幅に反発しましたが、週間では大きく下げました。Brentは80ドル台、WTIは77ドル台で推移し、米国とイランの和平進展、イスラエルとヒズボラの停戦、ホルムズ海峡の通航再開期待が、戦争プレミアムを大きく剝がしています。ただし、イランが通航許可制を示しており、日本のガソリン価格や物流コストにとっては、まだ完全な安心局面ではありません。
きょうの値動き
日本時間20日朝時点で確認できるReutersの19日午後時点のデータでは、Brent先物は1バレル80.38ドル、WTI先物は77.54ドルで推移しました。Brentは前日比66セント高、WTIは94セント高と小幅に反発しましたが、Brentは週間で約8%下落する見通しです。米国が祝日で商いが薄いなか、原油市場は「急落後の小反発」と「和平期待による上値の重さ」が同時に出た形です。
なぜ動いたのか
主因は地政学リスクの後退です。イスラエルとヒズボラがレバノンで停戦に合意し、米国とイランの戦争終結に向けた覚書も市場の安心材料になりました。さらに、少なくとも4隻の石油関連タンカーがホルムズ海峡に入ったことが確認され、供給再開への期待が広がりました。
一方で、下値を支えたのも地政学です。イランはホルムズ海峡の通航について、ペルシャ湾海峡当局が発行する有効な通航許可なしには船舶を通さない姿勢を示しました。これにより、市場は「再開は進むが、平時の自由通航には戻っていない」と受け止めています。
需給面では、戦争で湾岸に滞留していた8500万バレル超の原油が市場へ戻るとの見方が出ています。米国のイラン産原油制裁が緩む可能性もあり、供給増への期待が価格の上値を抑えました。金融市場要因では、円が1ドル161円台まで下落し、原油安の恩恵を日本が受けにくい構図も残っています。
この動きは一時反応か
今回の小幅反発は、急落後の一時的な買い戻しと見るのが妥当です。大きな流れとしては、戦争プレミアムが剝がれ、原油価格は80ドル前後まで下がっています。Citiは、物流正常化が続けば今後6〜12カ月で原油市場が供給超過に傾き、価格が60〜65ドル方向へ下がる可能性を見ています。
ただし、構造的な原油安に入ったと断定するのは早いです。ホルムズ海峡は戦争前に世界の石油・LNG供給の約2割が通過していた要衝で、通航回復には数カ月かかる可能性もあります。つまり、価格は下がりましたが、実際の物流が安定するまでは再上昇リスクが残ります。
日本への影響
日本にとって、Brentが80ドル前後まで下がったことはガソリン価格、電気代、航空運賃、物流コストへの上昇圧力を和らげる材料です。ただし、円相場が1ドル161円台にあるため、ドル建て原油価格の下落がそのまま国内価格に反映されるとは限りません。
家計目線では、原油価格だけでなく、円安、タンカー保険料、ホルムズ海峡の通航条件を合わせて見る必要があります。Brentの80ドル割れが定着し、円安が止まれば国内にはプラスですが、海運リスクが残れば値下がりは遅れやすくなります。
週明けの注目点
週明けは、Brentが80ドル台を維持するのか、それとも70ドル台に定着するのかが焦点です。加えて、米国とイランの追加協議、ホルムズ海峡の通航許可制が実務上の障害になるか、湾岸に滞留していた原油がどれだけ市場へ戻るかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、和平の見出しではなく、実際にタンカーが平時に近いペースで動くかで決まります。

