原油市場日報 2026年5月1日

原油価格は、急騰後にいったん押し戻されました。ただし、Brentはなお110ドル台、WTIも105ドル台で推移しており、「下がったから安心」とは言えません。中東情勢とホルムズ海峡の供給不安が続く限り、日本のガソリン価格や物流コストにも波及しやすい高値圏です。
きょうの値動き
米国時間4月30日の原油市場では、Brent原油の6月限が一時1バレル126.41ドルまで急騰したあと、114.01ドルで取引を終えました。中心限月に近い7月限は110.88ドルで、前日比44セント高でした。WTIは一時110.93ドルまで上げたものの、終値は105.07ドルと前日比1.81ドル安です。日本時間5月1日朝の取引開始後には、WTIが105.50ドル近辺で小反発しており、相場は「高値圏で荒い値動き」という状態です。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。米国とイランをめぐる緊張が長期化し、ホルムズ海峡の供給障害が続くとの見方が、原油価格を押し上げました。Reutersは、Brentが4年ぶり高値をつけた背景として、中東の供給混乱が長引く懸念を挙げています。つまり今日の原油価格は、単なる投機的な買いではなく、「実際に原油が届きにくい」という不安を織り込んでいます。
需給面でも、価格を支える材料があります。EIAの週間統計では、4月24日までの週に米商業用原油在庫が620万バレル減少し、ガソリン在庫も610万バレル、留出油在庫も450万バレル減りました。原油だけでなく燃料在庫も減っているため、夏の需要期を前に「供給不足が製品価格へ広がるのではないか」という警戒が出ています。
金融市場要因としては、月末の利益確定と限月交代が大きく、Brentは高値から大きく押し戻されました。市場心理・ポジション調整では、短期筋が急騰後にいったん買い持ちを減らした一方、ホルムズ海峡リスクを見て押し目買いも入りやすい展開です。
この動きは一時反応か
今日の下落は一時的な利益確定の面が強いです。しかし、原油高そのものは一時反応だけでは片づけにくくなっています。Reuters調査では、イラン情勢とホルムズ海峡の閉鎖リスクを受け、アナリストの2026年Brent平均予想は86.38ドル、WTI平均予想は80.07ドルへ引き上げられました。市場はすでに「すぐ正常化する」という前提を弱めています。
一方で、構造的な原油高に完全に移ったと断定するのも早いです。OPECプラスをめぐっては、UAE離脱後もロシアが協調枠組みは続くとの見方を示しており、価格戦争にはなりにくいとの発言も出ています。供給不安は強いものの、外交進展や増産観測が出れば、Brentの110ドル台は再び試される可能性があります。
日本への影響
日本にとっては、Brentが110ドル台に残っていることが重要です。日本は中東産原油への依存度が高いため、ホルムズ海峡の不安は輸入コストに直結します。円安が重なれば、ガソリン価格、電気代、航空運賃、食品や日用品の物流費にじわじわ波及します。原油価格がなぜ上がったのかを理解することは、家計のインフレ圧力を読むうえでも欠かせません。
明日の注目点
明日は、Brentの中心限月が110ドル台を維持するか、WTIが105ドル台から再び上を試すかが焦点です。加えて、ホルムズ海峡の通航状況、米国とイランの協議・軍事関連報道、OPECプラスの増産姿勢、米燃料在庫の減少が続くかを確認する必要があります。今後どうなるかは、ニュースの強弱だけでなく、実際に原油と石油製品が市場へ届いているかで決まる局面です。
