金価格週報 2026年6月第4週|金相場は4週続落、一時4,000ドル割れでドル高と利上げ観測が重荷に

今週の金価格は4週続落し、一時4,000ドルを下回りました。米金利、ドル円、PCE、金ETFを整理し、来週の注目点を解説します。
今週の金価格はどう動いたか
2026年6月22日から6月26日の金価格は、週後半に反発したものの、週間では下落しました。ドル建て金スポット価格は週初の4,148.89ドルから週末の4,080.54ドルへ下がり、騰落率は約1.6%の下落です。週中には一時3,958.73ドルまで下げ、4,000ドルを割り込む場面もありました。主因は、米利上げ観測、ドル高、金ETFの資金流出懸念です。来週は、米雇用統計、米金利、ドル円、FRB高官発言が焦点です。
価格データで見る一週間の流れ
対象期間:2026年6月22日から2026年6月26日
週初の金価格:4,148.89ドル
週末の金価格:4,080.54ドル
一週間の騰落幅:マイナス68.35ドル
一週間の騰落率:約1.6%下落
週中高値:4,220.98ドル
週中安値:3,958.73ドル
確認時点:2026年6月27日 日本時間
参照価格:ドル建て金スポット価格、XAU/USD
補足価格:米金先物8月限は6月26日に4,096.30ドル
価格参照元:Myfxbook、Investing.com、Reuters
本記事では、MyfxbookのXAU/USD日足データを基準に、6月22日の始値を週初価格、6月26日の終値を週末価格として計算しています。6月22日は4,148.89ドルで始まり、6月24日には3,958.73ドルまで下落しました。その後、6月25日と26日に反発しましたが、週全体では下落となりました。
Investing.comのXAU/USDデータでも、6月24日に一時3,959.38ドルまで下げ、6月26日の終値は4,089.26ドルとなっています。Reutersは6月26日、金スポットが4,077.64ドルへ上昇した一方、週間では約2.1%安で4週続落に向かったと報じています。参照する価格指標や確認時点によって差はありますが、今週の金相場は「4週続落、ただし週末は反発」と見るのが自然です。
金価格を動かした主な材料
今週の金価格を動かした主な材料は、米利上げ観測、米ドル高、金ETFからの資金流出懸念、そして中東情勢の変化です。なかでも最も重かったのは、週前半のドル高と利上げ観測でした。
金は利息を生まない資産です。そのため、FRBの利上げ観測が強まると、金を保有する機会費用が意識されやすくなります。今週は、6月24日に金価格が4,000ドルを割り込む場面があり、心理的な節目を下回ったことで売りが加速しやすい地合いとなりました。Reutersは、米金融引き締め観測とドル高が金価格の重荷になったと報じています。
一方、週末には米PCEが市場予想に沿った内容となり、米金利とドルがやや低下しました。これにより、金価格は4,000ドル台を回復しました。ただし、反発は週前半の下落を完全に取り戻すほどではありませんでした。
米金利の影響
米10年債利回りは、6月22日の4.507%から6月26日の4.372%へ低下しました。週初は4.5%台で推移していましたが、週後半にかけて利回りは低下し、6月26日には4.37%台まで下がりました。
通常、米金利の低下は金価格にとって支えになりやすい材料です。実際、6月25日から26日にかけて金価格が反発した背景には、米金利の低下もありました。Barron’sも、6月26日のPCE発表後に米10年債利回りが4.377%へ低下し、ドルも弱含んだと伝えています。
ただし、週全体では「利回りが下がったから金が上昇した」とは言い切れません。週前半には、FRBの追加利上げ観測とドル高が強く意識され、金価格は一時4,000ドルを割り込みました。利回りの低下は週末の下支えにはなりましたが、週間の流れを反転させるには力不足でした。
ドルと為替の影響
米ドル指数は、6月22日の100.84から6月26日の101.36へ上昇しました。週中には101.80まで上がり、52週高値圏に近づきました。ドル建てで取引される金は、ドル高になると他通貨の投資家にとって割高になりやすく、金価格の重荷になります。
週末にはPCEを受けてドルがやや下げましたが、週全体ではドル高基調が残りました。Reutersも、2026年半ばにかけてドルが堅調で、米国の強い経済や高金利観測が支えになっていると報じています。金相場にとっては、ドルの強さが引き続き上値を抑える材料です。
ドル円は、6月22日の161.26円から6月26日の161.76円へ小幅に円安方向へ動きました。週中には161.95円まで上昇しており、円建て金価格には為替面の下支えが入りました。
日本の読者にとって重要なのは、ドル建て金価格が下落しても、円安が進むと円建て金価格の下落が抑えられる点です。今週はドル建て金価格が下落した一方、ドル円が161円台で高止まりしたため、円建てでは下落幅がやや小さくなりました。
地政学リスクと安全資産需要
中東情勢も、今週の金価格を左右する材料でした。地政学リスクが高まる局面では、安全資産として金需要が意識されやすくなります。一方で、緊張緩和によって原油価格が下がると、インフレ懸念が和らぎ、米金利低下を通じて金価格を支える場合もあります。
今週は、米国とイランをめぐる緊張緩和期待や原油価格の下落が、インフレ懸念をやや和らげました。Reutersは、6月26日に原油価格が下落し、北海ブレントが72ドル前後で取引されたと報じています。原油安は、インフレ圧力の低下を通じて米金利を押し下げる方向に働きやすく、週末の金価格反発を支えた面があります。
ただし、地政学リスクが完全に消えたわけではありません。中東情勢が再び緊迫すれば、安全資産需要が意識される一方、原油高を通じたインフレ懸念が米金利上昇につながる可能性もあります。金価格を見るうえでは、地政学リスクを単独で見るのではなく、原油、インフレ、米金利とのつながりを確認する必要があります。
金ETFと中央銀行需要
短期的な売り材料として目立ったのが、金ETFの資金流出懸念です。Reutersは、FRBの金融引き締め観測が強まるなか、金ETFから新たな資金流出が起きる可能性があると報じています。金は利息を生まないため、高金利環境ではETF需要が鈍りやすくなります。
一方で、中期的な支えとして中央銀行需要は残っています。World Gold Councilの2026年中央銀行金準備調査では、回答した中央銀行の89%が今後12カ月で世界の中央銀行金準備が増えると見ており、45%が自国の金準備を増やす見通しを示しました。
つまり、短期では金ETFの資金流出やドル高が金価格の重荷になりやすい一方、中期では中央銀行需要が下支えとして意識されます。今週の下落は、中央銀行需要が弱まったというより、短期の金融政策材料とドル高が強く効いた動きといえます。
円建て金価格はどう見ればよいか
円建て金価格は、ドル建て金価格とドル円の掛け合わせで動きます。今週は、ドル建て金価格が約1.6%下落した一方、ドル円は161円台で小幅に円安方向へ動きました。そのため、円建て金価格の下落率は概算で約1.3%にとどまりました。
週初の円建て参考価格:1グラムあたり約2万1,500円
週末の円建て参考価格:1グラムあたり約2万1,200円
一週間の騰落幅:1グラムあたり約290円下落
一週間の騰落率:約1.3%下落
週末の計算方法:4,080.54ドル ÷ 31.1035 × 161.76円
円建て参考価格:1グラムあたり約2万1,200円
この数値は、国際価格と為替を使った概算です。国内小売価格、消費税、手数料、販売店価格とは一致しません。円建て金価格を見る場合は、ドル建て金価格だけでなくドル円の確認が欠かせません。
今週のようにドル建て金価格が下落しても、円安が進めば円建てでは下落が一部抑えられます。反対に、ドル建て金価格の下落と円高が重なると、円建て金価格にはより強い下押し圧力がかかります。
来週の注目ポイント
来週の金価格を見るうえで、まず注目したいのは米雇用統計です。Reutersは、来週の米独立記念日週に非農業部門雇用者数などの重要指標が予定されていると伝えています。強い雇用統計となれば、FRBの追加利上げ観測が再び強まり、金価格には重荷になりやすいでしょう。
次に、米PCE後の金利見通しです。BEAによると、5月のPCE価格指数は前年比4.1%上昇し、4月の3.8%から加速しました。前月比では0.4%上昇、食品とエネルギーを除くコアPCEは前月比0.3%上昇です。物価は依然としてFRBの2%目標を上回っており、金利見通しは引き続き金相場の重要材料になります。
米ドル指数も確認が必要です。DXYが101台を維持する場合、ドル建て金価格の上値は抑えられやすくなります。一方、ドルが週末のように弱含む展開が続けば、金価格の下支えになる可能性があります。
ドル円は161円台で推移しており、日本の読者にとっては円建て金価格を左右する大きな材料です。円安が続けば、ドル建て金価格の下落を一部相殺します。ただし、円安が進みすぎると日本当局の為替介入警戒も強まりやすく、急な円高にも注意が必要です。
金ETFの資金フローも重要です。高金利環境でETFから資金流出が続く場合、金価格には重荷になりやすくなります。一方、4,000ドル前後で買い戻しが入るかどうかは、金相場の下値を確認するうえで注目されます。
まとめ
2026年6月22日から6月26日の金価格は、週間で約1.6%下落しました。週中には一時3,958.73ドルまで下げ、4,000ドルを割り込む場面がありましたが、週末には米金利とドルの低下を受けて4,000ドル台を回復しました。
主な要因は、米利上げ観測、ドル高、金ETFの資金流出懸念です。一方、PCEが市場予想に沿った内容となり、米金利が低下したことは週末の反発材料になりました。
円建て金価格では、ドル建て金価格の下落を円安が一部相殺しました。週末時点の概算では、1グラムあたり約2万1,200円の水準です。来週は、米雇用統計、米10年債利回り、米ドル指数、ドル円、金ETFの資金フローを分けて確認することが重要です。
本記事は市場情報の整理を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
