原油市場日報 2026年6月23日

原油価格は、週明けに大きく下落しました。Brentは77ドル台、WTIは75ドル台まで下がり、米国によるイラン産原油販売の一時容認と、ホルムズ海峡のタンカー通航回復が市場の安心材料になっています。日本にとってはガソリン価格や物流コストの上昇圧力が和らぐ一方、円安が続くため油断はできません。
きょうの値動き
日本時間23日朝時点で確認できるReuters報道では、Brentは1バレル77.93ドルまで下落し、前日比3.29%安となりました。WTIも75.19ドルまで下がり、前日比1.84%安です。Brentは先週の80ドル台から一段下がり、原油市場は「中東リスクで買う相場」から「供給回復を織り込む相場」へ移っています。
なぜ動いたのか
主因は地政学リスクの後退です。米国はイラン産原油や石油製品の販売、輸送、保険、決済を60日間認める一時的な一般許可を出しました。これは米国とイランの和平交渉を進めるための措置で、ホルムズ海峡の自由通航やIAEA査察をめぐる合意と結びついています。イラン産原油が市場に戻る可能性が意識され、原油価格の上値を抑えました。
需給面でも下落材料が出ています。船舶追跡データでは、ホルムズ海峡を通るタンカー交通が回復し始め、原油タンカーや大型タンカーが海峡に入ったことが確認されています。ただし、戦争前の1日125隻前後の通航水準にはまだ遠く、完全正常化とは言えません。
金融市場要因としては、原油安がインフレ懸念を和らげた一方、米利上げ観測でドルが強含みました。市場心理・ポジション調整では、ホルムズ海峡リスクを見込んで買われていた原油先物に利益確定売りが出たと見られます。
この動きは一時反応か
今回の下落は、単なる一時反応というより、戦争プレミアムが本格的に剝がれ始めた動きです。米国の対イラン制裁緩和とタンカー通航の回復が同時に出たことで、市場は「供給が戻る可能性」を前倒しで織り込んでいます。
ただし、構造的な原油安に完全移行したと断定するのは早いです。アジアの原油輸入は回復しつつありますが、精製燃料の供給はまだ紛争前を下回っており、ジェット燃料、軽油、ガソリンの価格は高止まりしています。原油そのものが戻っても、石油製品の不足が続けば、価格の下落は限定されます。
日本への影響
日本にとって、Brentの70ドル台後半は明確な安心材料です。この水準が続けば、ガソリン価格、電気代、航空運賃、物流コストへの上昇圧力は和らぎます。ただし、円相場は1ドル161円台に迫る円安水準で推移しており、ドル建て原油価格の下落がそのまま国内価格に反映されるとは限りません。
家計目線では、原油価格だけでなく、円安、タンカー保険料、石油製品価格の3つを見る必要があります。原油安はプラスですが、国内のガソリン価格がすぐ大きく下がるかは別問題です。
明日の注目点
明日は、Brentが77ドル台で下げ止まるのか、それとも75ドル方向へさらに下がるのかが焦点です。あわせて、米国とイランの交渉が続くか、ホルムズ海峡の通航量が戦争前の水準に近づくか、そして米原油在庫の減少が止まるかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、和平報道の見出しではなく、実際に原油と石油製品が安定して市場に戻るかで決まります。
