金価格週報 2026年5月第4週|金相場は小幅続落、米金利高止まりとドル高が重荷に

今週の金価格は小幅に下落。米金利高止まり、ドル円、中東情勢、金ETFの動きを整理し、来週の金価格の注目点を解説します。
今週の金価格はどう動いたか
2026年5月18日から5月22日の金価格は、週中に荒い値動きを見せながらも、週間では小幅に下落しました。基準にしたドル建て金スポット価格は、週初の4,531.42ドルから週末の4,509.41ドルへ下がり、騰落率は約0.5%の下落です。主因は、米10年債利回りの高止まりとドルの底堅さです。中東情勢と原油高によるインフレ懸念も、利下げ期待を後退させる材料となりました。来週は、米金利、ドル円、原油価格、FRB高官発言が焦点です。
価格データで見る一週間の流れ
対象期間:2026年5月18日から2026年5月22日
週初の金価格:4,531.42ドル
週末の金価格:4,509.41ドル
一週間の騰落幅:マイナス22.01ドル
一週間の騰落率:約0.5%下落
週中高値:4,589.76ドル
週中安値:4,453.12ドル
確認時点:2026年5月23日 日本時間
参照価格:ドル建て金スポット価格、XAU/USD
価格参照元:Investing.com、Myfxbook、Reuters
本記事では、5月18日の始値を週初価格、5月22日の終値を週末価格として計算しています。週中は5月19日に4,589.76ドルまで上昇した後、5月20日に4,453.12ドルまで下げる場面がありました。終値ベースでは小幅下落ですが、値幅は大きく、方向感の出にくい一週間でした。
Reutersは、5月22日の金スポット価格が4,515.83ドル付近に下落し、週間では約0.4%安だったと報じています。COMEX金先物も4,523.20ドルへ下落し、WSJはフロントマンスのCOMEX金が週間で0.76%下落したと伝えています。参照する価格指標によって差はありますが、今週の金相場は「小幅続落」と見るのが自然です。
金価格を動かした主な材料
今週の金価格を動かした主な材料は、米金利の高止まり、米ドルの底堅さ、中東情勢、原油高を通じたインフレ懸念です。最も効いたのは、米金利の高止まりでした。
金は利息を生まない資産であるため、米国債利回りが高い水準にあると、投資家は利回りのある債券を選びやすくなります。今週は米10年債利回りが一時4.6%台後半まで上昇し、金価格の上値を抑えました。
一方で、中東情勢への警戒は安全資産としての金需要を一定程度支えました。ただし、原油高がインフレ懸念を強めると、FRBの利下げ期待が後退し、米金利上昇を通じて金価格の重荷になる場合があります。今週は、安全資産需要よりも金利面の逆風が目立ちました。
米金利の影響
米10年債利回りは、5月18日に4.61%、5月19日に4.67%、5月20日と21日に4.57%で推移しました。週後半には4.55%台へやや低下しましたが、全体としては高水準が続きました。
MarketWatchは、週中に米10年債利回りが4.688%、30年債利回りが5.180%まで上昇した後、5月22日に10年債利回りが4.555%へ低下したと報じています。金価格にとっては、利回りが少し低下してもなお高い水準にあることが重荷でした。
FRBをめぐっては、原油高とインフレ懸念が利下げ期待を弱める材料になりました。Reutersは、原油価格の上昇がインフレ懸念を強め、年内利上げ観測にもつながったと伝えています。金価格はこの「金利が下がりにくい」という見方に反応しやすい局面でした。
ドルと為替の影響
米ドル指数は、5月18日の99.19から5月22日の99.29へ小幅に上昇しました。週を通じて大きなドル高ではありませんでしたが、DXYは99台を維持し、ドル建て金価格の上値を抑える材料になりました。
金はドル建てで取引されるため、ドル高は他通貨の投資家にとって金を割高にしやすく、金価格の重荷になりがちです。今週は米金利が高止まりするなかでドルも底堅く、金相場には追い風が乏しい展開でした。
ドル円は、5月18日の158.84円から5月22日の159.20円へ小幅に上昇しました。週中は158円台後半から159円台前半のレンジで推移し、円建て金価格にはやや円安方向の支えが入りました。
ただし、ドル円は160円に近づくと日本当局による為替介入への警戒が意識されやすい水準です。5月上旬にも介入観測を背景に円売りポジションが縮小したと報じられており、円建て金価格を見るうえでは為替の急変リスクも確認しておきたいところです。
地政学リスクと安全資産需要
中東情勢は、今週も金価格の重要な材料でした。米国とイランをめぐる協議への期待と不透明感が交錯し、原油価格と金利の動きにも影響しました。Reutersは、米イラン和平協議への懐疑やホルムズ海峡をめぐる供給懸念が原油高とインフレ懸念につながったと報じています。
地政学リスクが強まる局面では、安全資産として金需要が意識されやすくなります。ただし、今週のように原油高がインフレ懸念を強め、米金利上昇につながる場合、金価格には逆風も生じます。地政学リスクは単純に金価格を押し上げる材料ではなく、米金利やドルの動きと合わせて見る必要があります。
金ETFと中央銀行需要
短期の値動きでは金価格は小幅下落しましたが、金ETFには資金流入が続いています。Reutersは、5月20日までの週に金・貴金属ファンドへ23.4億ドルが流入し、2週連続の資金流入だったと報じています。高金利環境でも、地政学リスクやインフレ懸念を背景に、金への投資需要は残っています。
World Gold Councilによると、2026年4月の世界の金ETFフローはプラスに転じ、保有量は45トン増えて4,137トンとなりました。金価格の短期的な上げ下げとは別に、ETFへの資金流入は中期的な下支え材料として確認しておきたいポイントです。
円建て金価格はどう見ればよいか
円建て金価格は、ドル建て金価格とドル円の掛け合わせで動きます。今週はドル建て金価格が小幅に下落した一方、ドル円は小幅に円安方向へ動きました。そのため、円建てではドル建てほど下落が目立ちにくい週だったと考えられます。
週末のドル建て金スポット価格4,509.41ドル、ドル円159.20円を使って概算すると、円建て金価格は1グラムあたり約2万3,100円です。
計算方法:4,509.41ドル ÷ 31.1035 × 159.20円
円建て参考価格:1グラムあたり約2万3,100円
注意点:この計算は国際価格と為替を使った概算であり、国内小売価格、消費税、手数料、販売店価格とは一致しません。
日本の読者にとっては、金価格だけでなくドル円の確認が欠かせません。ドル建て金価格が下がっても、円安が進めば円建て金価格の下落は抑えられます。反対に、ドル建て金価格の下落と円高が重なると、円建て金価格は大きく下がりやすくなります。
来週の注目ポイント
来週の金価格を見るうえで最も重要なのは、米10年債利回りが4.5%台で落ち着くのか、それとも再び4.6%台後半へ上昇するのかです。米金利が上昇すれば、利息を生まない金には重荷になりやすくなります。一方、利回りが明確に低下すれば、金価格の支えになりやすいでしょう。
次に、米ドル指数とドル円です。DXYが99台を維持する場合、ドル建て金価格の上値は抑えられやすくなります。ドル円については、159円台から160円方向へ進むのか、それとも円高方向へ戻るのかが、円建て金価格の見方を左右します。
中東情勢と原油価格も引き続き重要です。原油高が続けばインフレ懸念が強まり、FRBの利下げ期待を弱める可能性があります。一方、緊張緩和が進めば、米金利の低下を通じて金価格を支える場面も考えられます。
金ETFへの資金流入や中央銀行の金購入も、中期的な金価格見通しを考えるうえで確認したい材料です。短期では米金利とドル、中期ではETFと中央銀行需要を分けて見ると、金相場の流れを整理しやすくなります。
まとめ
2026年5月18日から5月22日の金価格は、週間で約0.5%下落しました。週中には4,590ドル近くまで上昇する場面もありましたが、米金利の高止まりとドルの底堅さが重荷となり、週末にかけて上値の重い展開となりました。
地政学リスクは安全資産需要を支える材料ですが、今週は原油高を通じたインフレ懸念と米金利高止まりの影響が上回りました。円建て金価格では、ドル建て金価格の下落を小幅な円安が一部相殺した点もポイントです。
来週は、米10年債利回り、米ドル指数、ドル円、中東情勢、金ETFへの資金流入を確認することが、金価格の見通しを考えるうえで重要です。
本記事は市場情報の整理を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

