原油市場日報 2026年6月10日

原油価格は、日本時間10日朝に反発しています。前日の米国市場ではBrentが91ドル台、WTIが88ドル台まで下がりましたが、米国によるイランへの追加攻撃を受けて再び買いが入りました。中東情勢の一報で方向が変わる相場が続いており、日本のガソリン価格や物流コストにとっても油断できない状況です。
きょうの値動き
米国時間6月9日の原油市場では、Brent先物が1バレル91.45ドルで取引を終え、前日比2.80ドル安となりました。WTI先物も88.20ドルで、前日比3.10ドル安です。Brentは4月17日以来の安値圏まで下がりました。イランとイスラエルが攻撃停止を表明したことで、供給不安の上乗せ分がいったん剝がれた形です。
ただし、日本時間10日朝には流れが変わっています。米国によるイランへの追加攻撃を受け、Brentは92.29ドル、WTIは88.97ドルまで反発しました。前日終値からの上昇幅は1%弱ですが、地政学ニュースへの反応はなお敏感です。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。米国は、ホルムズ海峡で米軍ヘリが撃墜されたことへの対応として、イランの標的を新たに攻撃しました。停戦期待で下がった直後に再び軍事行動が起きたため、市場はホルムズ海峡の通航不安を完全には外せなくなっています。
需給面でも価格を支える材料があります。API統計では、6月5日までの週に米原油在庫が912万バレル減少し、8週連続の取り崩しとなりました。ガソリン在庫も119万バレル減っています。中東リスクだけでなく、米国の在庫減少が続いている点も見逃せません。
一方で、需要の弱さは上値を抑えています。中国の5月原油輸入が大きく減少したこともあり、市場は「供給不足」と「需要減速」を同時に見ています。
この動きは一時反応か
朝の反発は、直接的には追加攻撃に反応した短期的な動きです。ただし、構造的な供給不安は残っています。EIAは、ホルムズ海峡の通航が紛争前の水準へ戻るまで時間がかかるとの前提で、OECDの石油在庫が年末までに2003年以降で最低水準へ落ち込むと予測しています。Brentの6月・7月平均価格についても、1バレル105ドル程度を見込んでいます。
つまり、足元の90ドル台は落ち着いて見えても、在庫という緩衝材は薄くなっています。停戦が守られ、船舶通航が安定して増えれば下落余地がありますが、追加攻撃が続けば100ドル方向へ戻る可能性もあります。
日本への影響
日本では、Brentが90ドル台前半でも円安やタンカー運賃、保険料の高止まりが重なると、輸入コストは下がりにくくなります。ガソリン価格だけでなく、電気代、航空運賃、食品や日用品の物流費にも影響が残ります。原油価格が少し下がっただけで、家計負担がすぐ軽くなるとは限りません。
明日の注目点
明日は、Brentが92ドル台を維持するか、WTIが90ドルを回復するかが焦点です。加えて、米国とイランの追加攻撃が続くか、ホルムズ海峡の通航量が増えるか、日本時間10日夜に公表されるEIA週間石油統計でAPIと同様の大幅な在庫減少が確認されるかを見たいところです。EIAの週間統計は、米東部時間10日午前10時30分に公表予定です。

