トランプ発言がぶれる本当の理由、イランは米国の“弱点”を突いている!?

はじめに

トランプ大統領の対イラン発言は、この数週間で「戦争はすぐ終わる」から「まだ終われない」まで大きく揺れてきました。これは単なる気まぐれというより、イランが米国の軍事的な弱点ではなく、政治・経済・世論の弱点を突いているためだと見る方が自然です。戦場での優勢と、戦争を有利に終わらせる力は、必ずしも同じではありません。

背景と概要

今回の戦争で米軍は開戦直後から大量の高価な弾薬を消費しました。ロイターによると、トランプ政権は議会向け説明で、最初の2日間だけで56億ドル分の弾薬を使用したと見積もっています。これは軍事的な強さを示す一方、長期戦になれば備蓄、補充、生産能力、財政負担がすぐに政治問題化することも意味します。

しかも、ホワイトハウス内では戦争の終わらせ方をめぐる見解が割れていると報じられています。政権内には、原油高や市場不安を抑えるために戦争目的を狭く定義して早く着地したい勢力と、イランに再建余地を残せば数年後に同じ危機が戻るとして継戦を主張する強硬派が併存しています。発言のぶれは、この内部対立の反映と読むのが妥当です。

現在の状況

足元では、トランプ氏自身の説明にも揺れが見えます。3月11日には「標的はほとんど残っていない」として戦争の早期終結に言及した一方、その後もホルムズ海峡の再開やイランの追加打撃をめぐって強硬な発信を続けています。さらに3月16日には、イランが湾岸諸国まで報復対象に広げたことについて「誰も予想していなかった」と述べましたが、ロイターは、実際には政権が事前に湾岸同盟国への報復やホルムズ海峡封鎖の可能性について説明を受けていたと報じています。

この点は重要です。もし大統領が本当に予想外だったのなら情勢判断の誤りですし、予想していたのに驚いたように語っているのなら、国内向けの政治的演出ということになります。どちらにしても、イランの抵抗が米政権の想定より重い負担を生んでいること自体は否定しにくいでしょう。

注目されるポイント

1) イランは米軍の強さではなく、米国の「持久力」を攻めている

イランは米国と対称的な軍事競争で勝とうとしているわけではありません。ホルムズ海峡、原油価格、湾岸同盟国への報復、米議会での戦争権限論争を通じて、米国の政治的・経済的持久力を削る方向に動いています。ロイターは、戦争が第三週に入り、ホルムズ海峡が大きく閉塞し、同盟国も護衛艦派遣に消極的なことがトランプ氏の不満と圧力を強めていると伝えています。

2) 原油高はホワイトハウスにとって最も分かりやすい痛点

この戦争で最も政治的な破壊力を持つのは、原油と燃料価格です。ロイターは、政権内で原油高と市場不安が国内支持を傷つけることへの懸念が強く、だからこそ一部の側近が「勝利」を狭く定義して早期収束を模索していると報じています。トランプ氏がホルムズ海峡の再開や同盟国の護衛協力に強くこだわるのも、戦場そのものより、エネルギー価格が自らの政治基盤を傷つけることを警戒しているためと考えられます。

3) 世論は大統領に長期戦の白紙委任を与えていない

Reuters/Ipsosの3月1日調査では、米国の対イラン攻撃を支持すると答えたのは4人に1人程度でした。つまり、開戦直後の段階から、この戦争は広い支持を持っていたわけではありません。そこへ弾薬費用、燃料高、同盟国の巻き込み、米兵や在外拠点へのリスクが重なれば、政権が長期戦を正当化する余地はさらに狭くなります。

4) 発言の揺れは「終戦条件が定まっていない」ことの表れ

戦争をどう終わらせるのかが定まっていれば、メッセージはそこまで揺れません。ところが実際には、核・ミサイル能力の無力化で十分なのか、ホルムズ海峡の再開まで必要なのか、体制の行動変容まで求めるのかが固まっていません。ロイターが伝える政権内のせめぎ合いを見る限り、トランプ氏の発言のぶれは「戦略の柔軟性」というより「出口戦略の未確定」に近いと言えます。

今後の見通し

今後のシナリオは大きく二つです。ひとつは、トランプ政権が戦争目的を再び限定し、ホルムズ海峡の部分的再開やイランの能力低下をもって事実上の区切りをつける道です。もうひとつは、イランの報復継続と原油高が続くなかで、政権がより強い打撃を重ねざるを得ず、結果として戦争が長引く道です。前者なら発言の揺れは「出口探し」だったことになりますが、後者なら揺れそのものが戦略不在の証明になっていくでしょう。

現時点で言えるのは、イランが米国の軍事的弱点を突いているというより、米国の「高コスト」「低支持」「原油高への脆弱性」という政治経済上の弱点をかなり正確に突いている、ということです。トランプ発言がぶれる本当の理由は、戦争の勝敗が戦場の打撃だけでは決まらず、その代償が米国内へ跳ね返り始めているからだと考えるのが最も自然ではないでしょうか。

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