原油市場日報 2026年5月22日

原油価格は、前日の急落からさらに下げました。Brentは102ドル台、WTIは96ドル台まで低下し、いずれも約2週間ぶりの安値です。ただし、ホルムズ海峡の通航不安や在庫減少は残っており、日本のガソリン価格や物流コストにとっては「原油安で安心」とまでは言えない局面です。
きょうの値動き
米国時間5月21日の原油市場では、Brent先物が1バレル102.58ドルで取引を終え、前日比2.44ドル安、下落率は2.3%でした。WTI先物は96.35ドルで、前日比1.90ドル安、下落率は1.9%です。取引中には一時4%近く上昇する場面もありましたが、最終的には売りに押され、両指標とも約2週間ぶりの安値で引けました。
なぜ動いたのか
主因は、地政学リスクをめぐる見方が一日の中で大きく揺れたことです。イラン最高指導部の強硬姿勢や、ホルムズ海峡を管理する新組織の発表は、本来なら原油価格の上昇材料です。ホルムズ海峡は、戦争前には世界の石油・LNG供給の約2割が通過していた要衝であり、通航制限が続けば供給不安は簡単に消えません。
一方で、市場は「供給不安」だけでなく「需要破壊」も強く意識し始めています。中国の製油所は高値の原油購入を抑え、在庫を取り崩しながら精製量を減らしています。Reutersによると、中国の海上原油純輸入は前年同期間比で日量550万バレル減少し、米国からの原油・燃料輸出は5月前半に日量1300万バレルまで増えました。これが中東供給不足による価格上昇を抑える要因になっています。
金融市場要因としては、原油高が景気やインフレを圧迫し、需要そのものを冷やすとの見方が出ています。市場心理・ポジション調整では、上昇時に積み上がった買い持ちが、和平協議や需要減速の見方を受けて整理されました。
この動きは一時反応か
今回の下落は、単なる一時的な売りではなく、相場の見方が変わり始めたサインでもあります。これまで市場は「ホルムズ海峡が閉じれば原油価格は急騰する」と見ていました。しかし実際には、中国の買い控え、米国輸出の増加、各国の在庫取り崩しによって、価格上昇は抑えられています。
ただし、構造的な原油安に変わったとは言えません。IEAは、在庫取り崩しが続けば数カ月後に供給逼迫が本格化する可能性があると見ており、Reutersの分析でも、ホルムズ海峡の制約が長引けば市場の余力は急速に削られると指摘されています。今は「下がった」のではなく、「在庫と需要減で何とか抑えている」局面です。
日本への影響
日本にとっては、Brentが102ドル台まで下がったことは一応の安心材料です。ただし、100ドルを大きく割り込んだわけではなく、円安や輸送コスト上昇が重なれば、国内のガソリン価格や電気代への反映は限定的になります。中東産原油への依存度が高い日本では、ホルムズ海峡の不安が続く限り、原油価格の一時的な下落だけで生活コストの上振れリスクが消えるわけではありません。
明日の注目点
明日は、Brentが100ドル台を維持するか、WTIが95ドルを割り込むかが焦点です。あわせて、米国とイランの協議、ホルムズ海峡の通航管理、米国からの原油・燃料輸出、中国の買い控えがどこまで続くかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、地政学ニュースだけでなく、在庫を取り崩して耐える相場がいつまで続くかで決まります。

