原油市場日報 2026年5月26日

原油価格は、週明けに大きく下落しました。Brentは90ドル台後半、WTIは90ドル前後まで下がり、米国とイランの和平協議が進むとの期待が一気に広がっています。ただし、ホルムズ海峡の通航正常化はまだ確認途上であり、日本のガソリン価格や物流コストにとっては「下がったが、安心はまだ早い」局面です。
きょうの値動き
日本時間26日朝に確認できる直近の海外市場では、Brent先物が1バレル96ドル台、WTI先物が90ドル台前半まで下落しました。Reuters系の報道では、25日米東部時間午後の時点でBrentが96.30ドル、WTIが90.88ドルまで下げ、いずれも前週末から6%前後の急落となっています。米国市場はメモリアルデーで通常取引が限られましたが、原油市場では「和平期待でリスクプレミアムが剝がれる」動きがはっきり出ました。
なぜ動いたのか
主因は地政学リスクの後退です。トランプ米大統領が、イランとの和平合意について「大筋で交渉済み」と述べ、ホルムズ海峡の再開を含む枠組みへの期待が高まりました。ホルムズ海峡は世界の原油・LNG輸送の急所であり、ここが再開に向かうだけで、原油価格に乗っていた供給不安の上乗せ分は剝がれやすくなります。
需給面では、実際に一部タンカーが動き始めたことも売り材料になりました。ただし、すべての物流が正常化したわけではありません。Guardianは、タンカーの一部が動き出している一方で、供給網や関連インフラの回復には時間がかかるとの見方を伝えています。つまり、今日の原油価格がなぜ下がったのかといえば、「供給が完全に戻ったから」ではなく、「戻るかもしれない」という期待を先に織り込んだからです。
金融市場要因としては、原油安がインフレ懸念を和らげ、株式市場には追い風になりました。日本株や欧州株も上昇し、投資家心理はリスクオンに傾いています。市場心理・ポジション調整では、先週までホルムズ海峡リスクを見込んで買っていた短期筋が、和平報道をきっかけに一斉に利益確定へ動いたと見られます。
この動きは一時反応か
今回の下落は、一時的なリスクプレミアムの剝落と見るのが妥当です。Brentが100ドルを割り込んだことは大きな節目ですが、イラン側は合意が目前だとの見方には慎重で、ホルムズ海峡の封鎖や制裁、凍結資産など未解決の論点も残っています。
構造的な原油安に変わるには、正式合意、船舶通航の回復、在庫減少の停止がそろう必要があります。逆に、協議が停滞したり、ホルムズ海峡周辺で船舶リスクが再燃したりすれば、Brentは再び100ドル台へ戻す可能性があります。現時点では「原油高が終わった」というより、「和平期待でいったん急落した」と見るべきです。
日本への影響
日本にとって、Brentの100ドル割れはガソリン価格や電気代への上昇圧力を和らげる材料です。とくに原油高と円安が重なっていた局面では、今回の下落は家計や物流企業にとって一息つけるニュースです。ただし、90ドル台後半のBrentは平時と比べればまだ高く、中東産原油への依存度が高い日本では、ホルムズ海峡の安全確認が進まない限り、輸入コストの不安は残ります。
明日の注目点
明日は、Brentが95ドル台で下げ止まるか、WTIが90ドルを明確に割り込むかが焦点です。あわせて、米国とイランの合意文書が本当にまとまるのか、ホルムズ海峡の船舶通航が実際に増えるのかを確認する必要があります。米国の祝日の影響で、EIA週間石油統計は通常より遅れ、5月28日に公表される予定です。原油価格が今後どうなるかは、和平期待の見出しではなく、実際に原油と石油製品が市場へ戻るかで決まります。

