原油市場日報 2026年6月25日

原油価格は、きょう朝時点でさらに大きく下落しました。Brentは73ドル台、WTIは70ドル台前半まで下がり、ホルムズ海峡の通航回復とイラン産原油の販売容認が、戦争プレミアムを一気に剝がしています。日本にとってはガソリン価格や物流コストの上昇圧力を和らげる材料ですが、在庫はなお薄く、完全な安心局面とは言い切れません。
きょうの値動き
米国時間6月24日の原油市場では、Brent先物が1バレル73.74ドルで取引を終え、前日比3.34ドル安、下落率は4.3%でした。WTI先物は70.34ドルで、前日比2.87ドル安、下落率は3.9%です。Brentはイラン戦争開始前の水準を下回り、WTIも一時70ドルを割り込む場面がありました。原油価格は「中東リスクで買う相場」から、「供給回復を織り込む相場」へ明確に移っています。
なぜ動いたのか
主因は地政学リスクの後退です。米エネルギー長官は、過去24時間で約2000万バレルの原油がホルムズ海峡を出たと説明しました。さらに、湾岸に滞留していた3隻、合計約500万バレル分のタンカーも動き始めています。ホルムズ海峡の閉鎖リスクが後退したことで、原油価格に乗っていた供給不安の上乗せ分が大きく剝がれました。
需給面では、イラン産原油が市場に戻る可能性も下落材料です。米国は最終和平合意に向け、イラン産原油販売を一時的に認める措置を出しており、市場では中東からの供給増が意識されています。一方で、EIA統計では米商業用原油在庫が前週比610万バレル減の4億1210万バレルとなり、5年平均を約7%下回っています。つまり、価格は下がっていますが、在庫面の余裕はまだ大きくありません。
金融市場要因としては、原油安がインフレ懸念を和らげ、リスク資産にはプラスに働きやすい状況です。市場心理・ポジション調整では、ホルムズ海峡リスクを見込んで買われていた原油先物に利益確定売りが集中しました。物理的な原油カーゴも世界的に割安で取引され始めており、短期的には「供給が戻る前提」で売られやすい地合いです。
この動きは一時反応か
今回の下落は、一時的なヘッドライン反応というより、戦争プレミアムの剝落が続いている動きです。Brentが70ドル台前半まで下がったことで、市場の焦点は「ホルムズ海峡が止まるか」から「どれだけ早く供給が戻るか」に移りました。
ただし、構造的な原油安に完全移行したと断定するのは早いです。ホルムズ海峡の通航は増えていますが、機雷リスクや迂回ルートの利用が残り、完全な平時運航にはまだ距離があります。また、米原油在庫が9週連続で減っている点も、下値を支える材料です。和平合意が揺らげば、原油価格は再び80ドル方向へ戻す可能性があります。
日本への影響
日本にとって、Brentの73ドル台は明確な安心材料です。この水準が続けば、ガソリン価格、電気代、航空運賃、物流コストへの上昇圧力は和らぎます。特に中東依存度の高い日本では、ホルムズ海峡の通航回復は輸入コストの安定に直結します。
ただし、国内価格への反映には時間差があります。円安、タンカー保険料、元売り各社の在庫コストが残れば、原油安がすぐ店頭価格に反映されるとは限りません。家計目線では、Brentの70ドル台定着と、ホルムズ海峡の通航正常化が続くかを見る必要があります。
明日の注目点
明日は、Brentが73ドル台で下げ止まるか、WTIが70ドルを明確に割り込むかが焦点です。あわせて、米国とイランの最終合意、ホルムズ海峡のタンカー通航量、イラン産原油の実際の輸出再開、米在庫減少の継続を確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、和平報道の見出しではなく、供給回復が数字で確認できるかで決まります。
