原油市場日報 2026年6月11日

原油価格は反発しました。Brentは93ドル台、WTIは90ドル台を回復し、米国の対イラン追加攻撃警告と米原油在庫の大幅減少が買い材料になりました。ホルムズ海峡の通航不安が残るなか、日本ではガソリン価格だけでなく、物流コストや物価への波及にも注意が必要です。
きょうの値動き
米国時間6月10日の原油市場では、Brent先物が1バレル93.10ドルで取引を終え、前日比1.65ドル高となりました。WTI先物は90.03ドルで、前日比1.83ドル高です。前日は停戦期待からBrentが91ドル台、WTIが88ドル台まで下がりましたが、わずか1日で再び買い戻されました。原油価格は、中東情勢の一報で方向が変わる神経質な相場です。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。トランプ米大統領は、和平合意がまとまらなければイランを強く攻撃すると警告しました。さらに、米国がホルムズ海峡でタンカーの通航を支援していることも明らかになりました。市場は「供給回復への期待」と「攻撃再開のリスク」を同時に織り込んでいます。
需給面では、EIAの週間統計が強い材料になりました。6月5日までの週の米商業用原油在庫は前週比720万バレル減の4億2650万バレルとなり、5年平均を約5%下回りました。ガソリン在庫は20万バレル増えましたが、留出油在庫は20万バレル減少しています。
市場心理・ポジション調整では、前日の下落後に買い戻しが入りました。一方、中国の5月原油輸入は前年同月比で大きく減っており、需要減速懸念が上値を抑えています。
この動きは一時反応か
今日の反発には、追加攻撃警告への短期的な反応が含まれます。ただし、供給不安は一時的とは言い切れません。Reuters調査では、5月のOPEC産油量は日量1613万バレルとなり、少なくとも2000年以降で最低水準でした。増産方針が出ても、ホルムズ海峡の制約やイラン産原油の減少が続けば、実際の供給増につながりにくい状態です。
日本への影響
日本では、Brentが90ドル台前半でも安心できません。ホルムズ海峡の混乱で船舶燃料価格やコンテナ運賃が上昇しており、輸入品、食品、日用品の物流費にも波及しやすくなっています。円安が重なれば、ガソリン価格や電気代への負担も下がりにくくなります。
明日の注目点
明日は、Brentが95ドル方向へ上昇するか、WTIが90ドル台を維持するかが焦点です。加えて、米国とイランの交渉、追加攻撃の有無、ホルムズ海峡を通る船舶数、米在庫減少の継続性を確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、外交発言だけでなく、実際に原油が市場へ届くかで決まります。

