原油市場日報 2026年6月9日

週明けの原油価格は上昇しました。Brentは94ドル台、WTIは91ドル台で取引を終えましたが、取引中には5%超急騰する場面もありました。イランとイスラエルが攻撃停止を表明したことで上げ幅は縮小したものの、ホルムズ海峡と紅海の海運リスクは残っています。日本では円安も重なり、ガソリン価格や物流コストへの警戒を緩めにくい状況です。
きょうの値動き
米国時間6月8日の原油市場では、Brent先物が1バレル94.25ドルで取引を終え、前週末比1.16ドル高、上昇率は1.3%でした。WTI先物は91.30ドルで、前週末比76セント高、上昇率は0.8%です。イスラエルによるイランとレバノンへの攻撃を受け、一時は5%超上昇しましたが、その後はイランとイスラエルが相互攻撃の停止を表明し、上げ幅を縮めました。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。イスラエルがイラン南西部の石油化学施設を攻撃し、イランもイスラエル北部ハイファの関連施設を狙ったと発表しました。トランプ米大統領が攻撃停止を求めたことで、いったん沈静化しましたが、イランはイスラエルがレバノンのヒズボラへの攻撃を続ければ反撃するとしています。
需給面では、ホルムズ海峡の通航制約が引き続き重要です。危機前には世界の原油・LNG供給の約5分の1が同海峡を通過していました。OPECプラスは7月から生産枠を日量18万8000バレル引き上げる方針ですが、海峡の制約が続けば、増産枠が実際の供給増につながる効果は限られます。
金融市場要因としては、米利上げ観測を背景としたドル高が上値を抑えました。市場心理・ポジション調整では、中東の攻撃再燃で買いが膨らんだあと、攻撃停止の表明を受けて短期筋が利益確定に動きました。
この動きは一時反応か
今日の上昇は、短期的にはヘッドライン反応です。ただし、構造的な供給不安が消えたわけではありません。Reutersの分析では、ホルムズ海峡の制約によって世界供給の約13%に相当する流れが滞り、米国の原油在庫と戦略備蓄を合わせた水準も2004年以来の低さまで減っています。
つまり、停戦報道が出れば価格は下がりやすい一方、追加攻撃や船舶トラブルがあれば再び跳ねやすい相場です。原油価格が今後どうなるかは、外交発言よりも、実際に船舶通航が安定して回復するかで決まります。
日本への影響
日本では、Brentの94ドル台に加えて、円相場が1ドル160円台前半で推移していることが重い材料です。ドル建て原油価格が落ち着いても、円換算の輸入負担は下がりにくく、ガソリン価格、電気代、航空運賃、食品や日用品の物流費に波及しやすくなります。
明日の注目点
明日は、Brentが95ドル台へ上昇するか、WTIが90ドル台を維持できるかが焦点です。加えて、イランとイスラエルの攻撃停止が守られるか、ホルムズ海峡と紅海の船舶リスクが広がらないかを確認する必要があります。米EIAの週間石油統計は通常どおり米東部時間10日午前10時30分に公表予定で、在庫減少が続くかも重要です。
