ノジマがロボット専門ショールーム「MIRAI ROBO SQUARE」を開設、家庭用ロボット普及を見据えた“体験型”販売の狙い

はじめに
家電量販店のノジマが、ロボットに特化した専門ショールーム「MIRAI ROBO SQUARE(ミライロボスクエア)」を東京・品川に開設しました。産業用途が中心だったロボットが、生活支援やコミュニケーションなど“家庭の中”へ入ってくる動きが強まる中、実物に触れて比較できる場を用意した形です。市場調査では家庭向けのサービスロボット市場が2030年に340億円規模へ拡大する予測もあり、販売の現場が「体験」と「導入支援」をセットで提供する流れが加速しそうです。
背景と概要
ショールーム「MIRAI ROBO SQUARE」は、2026年2月19日にオープンしました。開設時点で国内外メーカー約20社が参画し、会場には約40種類のロボットを展示するとされています。
展示内容は、接客・案内など法人向けのサービスロボットから、家庭内での見守りや対話を想定したコミュニケーションロボットまで幅広く、「ロボット技術をより身近にし、未来のロボット社会を体感できる場」を掲げています。
こうした取り組みの背景には、高齢化や人手不足に加え、センサーや音声対話などの技術が生活領域に入りやすくなったことがあります。家庭用ロボットは、単に作業を代替するだけでなく、コミュニケーションや心理的な安心感(寄り添い)を価値として打ち出す製品が増え、家電・IoTの延長線として捉えられるようになってきました。
現在の状況
会場では、対話・案内を担うヒューマノイドAIロボット「ミロカイ(MIROKAI)」が来場者対応のデモを行うほか、移乗を助けるモビリティロボット、身体機能を補助する装着型ロボットなど、用途の異なる機種をまとめて体験できます。
ノジマの発表では、装着型サイボーグ「HAL」(CYBERDYNE)や、モビリティロボット「RODEM(ロデム)」(テムザック)、清掃ロボット、コミュニケーションロボット各種(例:NICOBO、Romi、Moflin、BOCCO emoなど)が“主な展示ロボット”として挙げられています。
また同社は、家庭でAIロボットを使う際に不可欠となるインターネット環境の整備も含め、導入を総合的に支援するコンサルティングを視野に入れるとしています。ロボットは購入後の設定・接続・運用が体験価値を左右しやすく、「売って終わり」ではなく、ネットワークやサポートまで一体で提供する販売モデルが重要になります。
注目されるポイント
1) 「体験の場」が購入判断を左右する
ロボットはスペック表だけでは価値が伝わりにくく、動き・反応速度・会話の間合い・安全性などを実際に確かめたいニーズが強い商品です。ショールーム化は、購入検討者の心理的ハードルを下げ、比較検討を促す効果が期待されます。
2) 家庭用ロボットは“用途の分化”が進む
掃除や運搬のような作業支援だけでなく、見守り、対話、癒やし、移動支援など、家庭内課題に合わせた製品が並立し始めています。展示を横断的に見せることで、「自宅では何が困りごとなのか」から逆算して選べる導線が作れます。
3) 市場拡大のカギは「導入支援」と「運用のしやすさ」
市場予測が伸びても、初期設定の難しさや通信環境の差、故障時対応への不安が普及を鈍らせることがあります。販売店がネット環境や運用面まで含めて支援する姿勢は、家庭用ロボットの普及にとって現実的な後押しになります。
4) 産業から家庭へ:販路の主役が変わる可能性
これまでロボットは法人向けの導入検討(ROI、保守、現場検証)が中心でしたが、家庭向けでは「体験」「相性」「継続利用」が重要になります。家電量販店がショールームを持つことは、ロボットの販路が生活者向けに本格的に広がる兆しとも言えます。
今後の見通し
今後は、家庭用ロボットの“定番用途”がどこに定着するかが焦点になります。高齢者支援や見守り、軽作業補助の需要が伸びる一方で、コミュニケーション・癒やし系は価格帯やサブスク設計、会話品質の改善が普及を左右しそうです。
また、販売店が担う領域も広がります。ロボット本体の販売に加えて、Wi-Fiやスマートホームの整備、初期設定、定期メンテ、トラブル時の窓口といった“運用インフラ”が価値になります。ショールームが単発の話題で終わらず、継続的な導入支援の拠点として機能するかが、今後の評価ポイントになるでしょう。

