原油市場日報 2026年4月29日

原油価格は、週明け以降の上昇がさらに強まりました。Brentは111ドル台、WTIは一時100ドル台に乗せ、中東情勢とホルムズ海峡の通航不安が市場の中心材料になっています。これは海外の相場ニュースにとどまらず、日本のガソリン価格や物流コストにも直結する動きです。
きょうの値動き
米国時間28日の原油市場では、Brent先物が1バレル111.26ドルで取引を終え、前日比3.03ドル高、上昇率は2.8%でした。WTI先物は99.93ドルで、前日比3.56ドル高、上昇率は3.7%です。WTIは取引中に一時100ドルを上回り、Brentは7営業日連続の上昇となりました。原油価格は、単なる短期的な買い戻しではなく、供給制約を織り込む局面に入っています。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。イラン情勢をめぐる停戦・和平協議が行き詰まり、ホルムズ海峡の通航不安が続いていることが、原油市場の最大の上昇要因になっています。ホルムズ海峡は世界の原油・LNG供給の重要な通り道であり、ここが不安定になると、実際の供給量だけでなく、タンカー運賃や保険料にも上昇圧力がかかります。
需給面では、米国の在庫動向も価格を支えています。EIAの前回統計では、米原油在庫は増加した一方、ガソリン在庫と留出油在庫は減少していました。さらに市場関係者が引用したAPI統計では、直近週のガソリン在庫が大きく減ったと伝えられ、燃料需給の引き締まりが意識されています。
金融市場要因としては、原油高がインフレ懸念を再び強めている点が重要です。世界銀行は、中東の供給混乱が続けばエネルギー価格が一段と上振れするリスクを指摘しています。市場心理・ポジション調整では、WTIが100ドル台を試したことで、売り方の買い戻しも入りやすくなっています。
この動きは一時反応か
今回の上昇は、一時的なヘッドライン反応だけでは説明しにくくなっています。UAEがOPECとOPECプラスから離脱する方針を示したことは、本来なら将来の増産観測につながる下落材料です。しかし市場では、その弱材料よりもホルムズ海峡の通航制約が重く見られました。
つまり、今の原油高は「不安で買われた相場」から、「供給が届かないリスクを織り込む相場」へ移りつつあります。ただし、交渉が前進し、船舶通航が回復すれば、上昇分が短期間で剝落する可能性もあります。構造的な原油高になるかどうかは、ホルムズ海峡の正常化がいつ見えるかにかかっています。
日本への影響
日本にとっては、Brentの111ドル台とWTIの100ドル接近は警戒すべき水準です。中東産原油への依存度が高い日本では、ホルムズ海峡の不安が長引くほど、ガソリン価格、電気代、航空運賃、物流コストに波及しやすくなります。円安が重なれば、輸入コストはさらに膨らみ、家計のインフレ実感を強める要因になります。
明日の注目点
明日は、WTIが100ドル台に定着するか、Brentが110ドル台を維持するかが最大の焦点です。加えて、EIAの週間在庫統計、ホルムズ海峡を通過する船舶数、米国とイランの協議続報、UAEのOPEC離脱に対する産油国側の反応を確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、外交ニュースだけでなく、実際に原油と石油製品がどれだけ市場へ届くかで決まる局面です。
