金価格週報 2026年5月第3週|金相場は反落、米金利上昇とドル高が重荷に

今週の金価格は米金利上昇とドル高を背景に反落。ドル円、インフレ懸念、中東情勢を整理し、来週の注目点を解説します。
今週の金価格はどう動いたか
2026年5月11日から5月15日の金価格は、週前半にいったん上昇したあと、週末にかけて大きく下落しました。基準にしたドル建て金スポット価格は、5月11日の始値4,683.79ドルから5月15日の終値4,540.76ドルへ下がり、週間では約3.1%の下落です。主因は、米10年債利回りの上昇とドル高です。中東情勢によるインフレ懸念も、FRBの利下げ期待を後退させる材料となりました。来週は、米金利、ドル指数、ドル円、原油価格の動きが焦点です。
価格データで見る一週間の流れ
対象期間:2026年5月11日から2026年5月15日
週初の金価格:4,683.79ドル
週末の金価格:4,540.76ドル
一週間の騰落幅:マイナス143.03ドル
一週間の騰落率:約3.1%下落
週中高値:4,773.83ドル
週中安値:4,512.16ドル
確認時点:2026年5月16日 日本時間
参照価格:ドル建て金スポット価格、XAU/USD
価格参照元:Investing.com、Reuters
本記事では、5月11日の始値を週初価格、5月15日の終値を週末価格として計算しています。5月12日には4,773.83ドルまで上昇する場面がありましたが、その後は売りが優勢となり、5月15日には4,512.16ドルまで下げました。週末にかけて米金利とドルが同時に上昇したことで、金相場の下げが加速した形です。
Reutersも、5月15日の金スポット価格が一時1週間超ぶりの安値を付け、週を通じて下落したと報じています。COMEX金先物6月限は5月15日に4,561.90ドルで清算され、先物市場でも下落が確認されました。
金価格を動かした主な材料
今週の金価格を動かした主な材料は、米金利の上昇、ドル高、原油高を通じたインフレ懸念、中東情勢です。なかでも最も重かったのは、米長期金利とドルの同時上昇でした。
金は利息を生まない資産です。そのため、米国債利回りが上がると、金を持つ機会費用が意識されやすくなります。さらに、ドル建てで取引される金は、ドル高になると他通貨の投資家にとって割高に見えやすく、価格の重荷になりがちです。今週はこの2つが同時に進み、金価格の下落につながりました。
一方で、中東情勢は複雑な材料でした。地政学リスクは安全資産としての金需要を支える面がありますが、原油高を通じてインフレ懸念を強めると、米金利上昇を招き、金には逆風になります。今週は後者の影響が強く出ました。
米金利の影響
米10年債利回りは、5月11日の4.42%から上昇し、5月15日には4.60%まで上がりました。FREDのデータでは5月14日時点で4.47%、Trading Economicsでは5月15日に4.60%が確認されています。
Reutersは、10年債利回りが一時4.599%まで上昇し、1年ぶりの高水準に近づいたと報じています。米金利の上昇は、利息を生まない金にとって明確な重荷です。今週の金価格が週末に大きく下げた背景には、この米金利上昇がありました。
中東情勢を背景に原油価格が上昇し、インフレ圧力が再び意識されたことも重要です。インフレ懸念が強まると、FRBが利下げに動きにくくなるだけでなく、場合によっては利上げ観測も意識されます。今週は、市場の関心が「利下げ期待」から「金利高止まり」へ移ったことが、金相場の重荷になりました。
ドルと為替の影響
米ドル指数は5月15日に99.27近辺まで上昇し、週間では約1.5%上昇しました。Reutersは、ドルが5営業日続伸し、2カ月ぶりの大きな週間上昇になったと報じています。ドル高は、ドル建て金価格にとって通常は逆風です。
ドル円も円安方向へ動きました。Investing.comのUSD/JPYデータでは、5月11日の157.18円から5月15日の158.79円へ上昇しています。Reutersも、ドルは円に対して158円台後半まで上昇し、円は週間で1%超下落したと報じています。
日本の読者にとっては、ここが重要です。ドル建て金価格は下落しましたが、ドル円が円安方向へ動いたため、円建て金価格の下落は一部抑えられやすい環境でした。つまり、海外の金相場ほど国内目線では下げを感じにくい可能性があります。
地政学リスクと安全資産需要
中東情勢は、今週も金価格の重要材料でした。Reutersは、イランをめぐる緊張や原油高がインフレ懸念を強め、金利上昇観測につながったと報じています。原油価格の上昇は、通常であれば地政学リスクを通じて金の安全資産需要を支える面があります。
ただし、今週は安全資産需要よりも、インフレ懸念と米金利上昇の影響が上回りました。地政学リスクがあるから金価格が必ず上がるわけではありません。原油高が長引けば、インフレと金利の経路を通じて、金価格の重荷になることもあります。
中央銀行と金ETFの動き
短期的には金価格が下落しましたが、中期的な需要材料として中央銀行と金ETFの動きは引き続き注目です。World Gold Councilによると、2026年第1四半期の中央銀行による金の純購入は244トンで、前期比17%増加しました。ポーランドとウズベキスタンの購入が目立ち、中国人民銀行も金準備を増やしています。
また、金ETFについては、4月に世界の金ETFフローがプラスに転じ、世界の金ETF保有量は45トン増えて4,137トンとなりました。ETFへの資金流入は、金価格の中期的な下支え材料として確認しておきたいポイントです。
円建て金価格はどう見ればよいか
円建て金価格は、ドル建て金価格とドル円の掛け合わせで動きます。今週はドル建て金価格が下落した一方、ドル円は円安方向へ動きました。そのため、円建てではドル建てほど下落が大きく見えにくい週だったと考えられます。
週末のドル建て金スポット価格4,540.76ドル、ドル円158.79円を使って概算すると、円建て金価格は1グラムあたり約2万3,200円です。
計算方法:4,540.76ドル ÷ 31.1035 × 158.79円
円建て参考価格:1グラムあたり約2万3,200円
注意点:この計算は国際価格と為替を使った概算であり、国内小売価格、消費税、手数料、販売店価格とは一致しません。
日本の読者が金価格を見る場合、ドル建ての金相場だけでなく、ドル円の確認が欠かせません。ドル建て金価格が下がっても円安が進めば、円建て金価格の下落は抑えられます。反対に、ドル建て金価格の下落と円高が重なると、円建てでは下落幅が大きくなりやすくなります。
来週の注目ポイント
来週の金価格を見るうえで、まず注目したいのは米10年債利回りです。4.6%近辺まで上昇した利回りがさらに上がる場合、金価格には引き続き重荷になりやすいでしょう。一方、利回りが低下に転じれば、金相場の下支え材料になります。
次に、米ドル指数です。今週はドル高が金価格を押し下げました。DXYが99台を維持するのか、それとも再び98台へ戻るのかは、ドル建て金価格の方向感を見るうえで重要です。
ドル円も日本の読者にとって大きな焦点です。158円台後半から160円方向へ円安が進む場合、円建て金価格は下がりにくくなります。一方、円高方向へ戻れば、ドル建て金価格の下落が国内価格にも反映されやすくなります。
中東情勢と原油価格も引き続き確認が必要です。地政学リスクは安全資産需要を支える可能性がありますが、原油高がインフレ懸念を強めれば、米金利上昇を通じて金価格の重荷になることがあります。
加えて、金ETFへの資金流入や中央銀行の金購入が続くかも、中期的な金価格見通しを考えるうえで重要です。短期では米金利とドル、中期ではETFと中央銀行需要を分けて見ると、金相場の流れを整理しやすくなります。
まとめ
2026年5月11日から5月15日の金価格は、週間で約3.1%下落しました。週前半には4,770ドル台まで上昇する場面があったものの、週末にかけて米金利上昇とドル高が進み、金相場は反落しました。
地政学リスクは安全資産需要を支える面がありますが、今週は原油高を通じたインフレ懸念と米金利上昇の影響が強く出ました。円建て金価格では、ドル建て金価格の下落を円安が一部相殺した点もポイントです。
来週は、米10年債利回り、米ドル指数、ドル円、中東情勢、金ETFと中央銀行需要を確認することが、金価格の見通しを考えるうえで重要です。
本記事は市場情報の整理を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

