金価格週報 2026年6月第2週|金相場は約2.6%下落、FOMC前の利上げ観測が重荷に

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今週の金価格は約2.6%下落。米CPI・PPI、米金利、ドル円160円台、地政学リスクを整理し、来週のFOMCの注目点を解説します。

今週の金価格はどう動いたか

2026年6月8日から6月12日の金価格は、週中に一時4,020ドル台まで下げたあと反発したものの、週間では下落しました。基準にしたドル建て金スポット価格は、週初の4,332.21ドルから週末の4,219.32ドルへ下がり、騰落率は約2.6%の下落です。主因は、米CPIとPPIの上振れを受けたインフレ懸念、FRBの利上げ観測、米金利の高止まりです。ドル円は160円台で推移し、円建て金価格の下落はドル建てとほぼ同じ方向でした。来週は6月16〜17日のFOMCが最大の注目点です。

価格データで見る一週間の流れ

対象期間:2026年6月8日から2026年6月12日
週初の金価格:4,332.21ドル
週末の金価格:4,219.32ドル
一週間の騰落幅:マイナス112.89ドル
一週間の騰落率:約2.6%下落
週中高値:4,363.50ドル
週中安値:4,023.55ドル
確認時点:2026年6月14日 日本時間
参照価格:ドル建て金スポット価格、XAU/USD
補足価格:COMEX金先物は6月12日に4,238.80ドルで清算
価格参照元:Investing.com、Reuters

本記事では、6月8日の始値を週初価格、6月12日の終値を週末価格として計算しています。週前半は4,300ドル台前半で始まりましたが、6月10日と11日に下げが強まり、6月11日には4,023.55ドルまで下落しました。その後は米国とイランをめぐる和平期待を背景に反発したものの、週末終値は4,219.32ドルにとどまりました。

Reutersは6月12日時点で、スポット金が4,227.17ドルまで反発した一方、週間では2.3%安だったと報じています。参照する価格指標や計算の起点によって差はありますが、今週の金相場は「二週連続の下落」と見るのが自然です。

金価格を動かした主な材料

今週の金価格を動かした最大の材料は、米インフレ指標とFOMC前の金利見通しです。5月の米CPIは前年比4.2%上昇し、前月の3.8%から加速しました。エネルギー価格の上昇が全体を押し上げ、インフレ懸念が再び強まりました。

さらに、5月の米PPIは前月比1.1%上昇し、市場予想の0.7%を上回りました。前年比では6.5%上昇と、2022年11月以来の大きな伸びです。生産者物価の上振れは、企業コストを通じて先々の物価にも影響しやすく、FRBが利下げに動きにくいとの見方につながりました。

金は利息を生まない資産です。そのため、インフレ懸念が強まり、米金利が高止まりする局面では、金を保有する機会費用が意識されやすくなります。今週は安全資産需要よりも、米金利と利上げ観測の重さが上回った一週間でした。

米金利の影響

米10年債利回りは、6月8日に4.56%、6月9日に4.53%、6月10日に4.55%で推移し、6月11日は4.45%へ低下しました。週後半にやや低下したものの、4%台半ばという水準自体は金価格にとって重荷になりやすい環境です。

Reutersは、6月12日時点で市場が12月までの米利上げ確率を57%織り込んでいると報じました。FOMCを前に、利下げ期待よりも「高金利が長引く」「場合によっては追加利上げもあり得る」という見方が意識されたことが、金価格の上値を抑えました。

今週の金相場では、インフレ指標の上振れが米金利見通しに直結しました。CPIとPPIがともに強い内容だったため、金価格にとっては反発材料よりも売り材料が目立ちました。

ドルと為替の影響

米ドル指数先物は、6月8日の100.024から6月12日の99.745へ小幅に低下しました。週前半には100台を維持しましたが、週末にかけてはややドル安方向へ動きました。ドル安は通常、ドル建て金価格の支えになりやすい材料です。

ただし、今週はドル安の支えよりも、米インフレと金利見通しの重さが勝りました。ドルが大きく崩れたわけではなく、DXYが99台後半から100台近辺で推移したことも、金価格の反発を限定的にしました。

ドル円は、6月8日の160.18円から6月12日の160.23円へ小幅に上昇しました。週を通じて160円台前後で推移しており、円建て金価格を見るうえでは引き続き為替の影響が大きい状況です。

日本の読者にとっては、ドル建て金価格だけでなくドル円が重要です。今週はドル建て金価格が下落し、ドル円はほぼ横ばいだったため、円建て金価格もドル建てに近い方向で下落しました。

地政学リスクと安全資産需要

中東情勢は、今週も金価格の重要材料でした。地政学リスクが高まる局面では、安全資産として金が買われやすくなります。一方で、原油高を通じてインフレ懸念が強まると、FRBの利下げ期待が後退し、米金利の高止まりを通じて金価格の重荷になる場合があります。

6月12日には、米国とイランの戦争停止に向けた覚書が早ければ週末にも署名される可能性があるとの報道を受け、原油価格が下落しました。ただし、イラン側の報道機関はこの見方を否定しており、和平期待はまだ不確実な材料です。

今週の金価格が週後半に反発したのは、地政学リスクの緩和期待でインフレ懸念がやや和らいだためです。ただし、週全体ではインフレと金利の影響が強く、金相場は下落で終えました。

金ETFと中央銀行需要

短期的には金価格が下落しましたが、中期的な需要材料として中央銀行の金購入は引き続き確認しておきたいポイントです。World Gold Councilによると、2026年第1四半期の中央銀行需要は244トンで、前期比17%増加しました。ポーランドとウズベキスタンの購入が目立っています。

一方、金ETFでは地域差が出ています。Reutersは、インドの金ETFが5月に1年ぶりの月間資金流出となり、投資家が価格上昇後に利益確定したと報じました。高値圏ではETF需要が常に一方向に増えるわけではなく、価格調整局面では資金フローの変化も確認が必要です。

短期では米金利とドル、中期では中央銀行需要と金ETFの資金フローを分けて見ると、金価格の見通しを整理しやすくなります。

円建て金価格はどう見ればよいか

円建て金価格は、ドル建て金価格とドル円の掛け合わせで動きます。今週は、ドル建て金価格が約2.6%下落し、ドル円は160円台前半でほぼ横ばいでした。そのため、円建て金価格も概算で約2.6%下落した計算になります。

週初の円建て参考価格:1グラムあたり約2万2,300円
週末の円建て参考価格:1グラムあたり約2万1,700円
一週間の騰落幅:1グラムあたり約575円下落
一週間の騰落率:約2.6%下落

週末の計算方法:4,219.32ドル ÷ 31.1035 × 160.23円
円建て参考価格:1グラムあたり約2万1,700円

この数値は、国際価格と為替を使った概算です。国内小売価格、消費税、手数料、販売店価格とは一致しません。

ドル建て金価格が下がっても、ドル円が大きく円安に動けば円建て金価格の下落は抑えられます。反対に、ドル建て金価格の下落と円高が重なると、円建てでは下げが大きくなりやすくなります。今週はドル円が大きく動かなかったため、円建てでも金相場の下落が比較的素直に反映されました。

来週の注目ポイント

来週の最大の注目点は、6月16日から17日に開かれるFOMCです。FRBの公式カレンダーでは、2026年6月のFOMCは16〜17日に予定され、経済見通しを伴う会合となっています。

市場では、政策金利そのものよりも、声明文、経済見通し、FRB議長会見でのインフレ判断が注目されます。CPIとPPIが上振れた直後だけに、FRBが利下げ方向の姿勢を弱めるのか、あるいは追加利上げに含みを残すのかが金価格の方向感を左右しそうです。

米10年債利回りも重要です。4.5%前後で高止まりすれば、金価格には引き続き重荷になりやすくなります。一方、FOMC後に利回りが低下すれば、金相場の反発材料になりやすいでしょう。

ドル円も日本の読者にとって大きな焦点です。160円台で推移する場合、円建て金価格はドル建てより下がりにくくなる場面があります。ただし、円高方向へ戻る場合は、円建て金価格にも下押し圧力がかかりやすくなります。

地政学リスクでは、米国とイランをめぐる協議が実際に進むかが注目です。緊張緩和が進めば原油価格とインフレ懸念の落ち着きにつながる可能性があります。一方、交渉が難航すれば、原油高、インフレ、米金利上昇という経路で金価格の重荷になる場合もあります。

まとめ

2026年6月8日から6月12日の金価格は、週間で約2.6%下落しました。週中には4,020ドル台まで下げる場面があり、週末に反発したものの、二週連続の下落となりました。

主な要因は、米CPIとPPIの上振れを受けたインフレ懸念、FOMC前の利上げ観測、米金利の高止まりです。ドル指数は週末にやや低下しましたが、金価格を押し上げるほどの材料にはなりませんでした。

円建て金価格では、ドル円が160円台前半でほぼ横ばいだったため、ドル建て金価格の下落がそのまま反映されやすい週でした。来週は、FOMC、米10年債利回り、ドル円、中東情勢、金ETFや中央銀行需要を分けて確認することが重要です。

本記事は市場情報の整理を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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