原油市場日報 2026年6月30日

原油価格は、週明けに反発しました。Brentは73ドル台、WTIは70ドル台を回復し、前週までの急落からいったん買い戻されています。ただし、これは原油高の再開というより、ホルムズ海峡の物流回復がまだ不安定で、米国とイランの暫定合意にも揺らぎが残るためです。日本にとっては、原油安の安心感と円安による輸入コスト上昇がぶつかる局面です。
きょうの値動き
米国時間6月29日の原油市場では、Brent先物が1バレル73.15ドルで取引を終え、前日比1.16ドル高、上昇率は1.61%でした。WTI先物は70.75ドルで、前日比1.52ドル高、上昇率は2.2%です。前週末までBrentは70ドル台前半、WTIは60ドル台後半まで下げていましたが、週明けは中東情勢への警戒と買い戻しで反発しました。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。米国とイランの暫定合意は続いているものの、週末には相互攻撃が再び報じられ、ホルムズ海峡の安全通航に対する不安が残りました。Reutersは、エネルギー輸送の回復期待がある一方で、すべての原油が短期間で湾岸から出てくるわけではなく、船舶攻撃リスクも残ると伝えています。
需給面では、ホルムズ海峡再開後に中東からの原油輸出が急増していることが本来は下落材料です。ただし、タンカーの出入りはまだ不均衡で、湾岸から出る船が多い一方、積み込みに向かう船は十分ではありません。Reutersの分析では、通航量は戦争前の1日約125隻にはなお届かず、物流の正常化には時間がかかる可能性があります。
金融市場要因としては、ドル高と円安が重要です。円は1ドル161.97円まで下落し、1986年以来の安値をつけました。日本から見ると、ドル建ての原油価格が下がっても、円換算の輸入負担は下がりにくい状況です。
市場心理・ポジション調整では、前週までの急落で売りが進みすぎた反動もありました。Brentが70ドル台前半まで下げたことで、短期筋の買い戻しが入りやすくなったと見られます。
この動きは一時反応か
今回の反発は、一時的な買い戻しの色が濃いです。大きな流れとしては、ホルムズ海峡の再開とイラン産原油の供給回復期待により、戦争プレミアムは剝がれています。ただし、構造的な原油安に完全移行したと判断するのは早いです。
Reutersの分析では、イラン制裁の一部停止により、イランの原油生産は年末までに日量330万バレルへ増える可能性があります。一方で、アジアや欧州の製油所はすでに夏場の原油を確保しており、短期的には余剰原油が海上在庫として滞留する可能性もあります。つまり、今の原油市場は「供給不足」から「物流混乱を伴う供給回復」へ移る途中です。
日本への影響
日本にとって、Brentが73ドル台にあることはガソリン価格や電気代、物流コストへの上昇圧力を和らげる材料です。ただし、円安が1ドル162円近辺まで進んでいるため、国内価格へのプラス効果は薄まりやすくなります。
また、ホルムズ海峡の通航が再開しても、保険料、海運コスト、タンカー不足が残れば、原油安がすぐガソリン価格に反映されるとは限りません。家計目線では、Brentの70ドル台定着だけでなく、円安の行方と海運コストの低下を合わせて見る必要があります。
明日の注目点
明日は、Brentが73ドル台を維持するか、WTIが70ドル台に定着するかが焦点です。あわせて、米国とイランの暫定合意が維持されるか、ホルムズ海峡のタンカー通航が実際に増えるか、そして米在庫の減少が続くかを確認する必要があります。EIAによると、6月19日までの週の米商業用原油在庫は610万バレル減の4億1210万バレルで、5年平均を7%下回っています。在庫の薄さが続く限り、原油価格は下がっても一方向には崩れにくい相場です。
