ホルムズ海峡での日本向けタンカーは?「待機45隻」と限定通航の実態

はじめに

ホルムズ海峡をめぐる情勢は、全面封鎖から通常運航へ戻ったわけではありません。2026年4月18日時点で見えているのは、商船の一部が通過を再開した一方、日本向け原油タンカーについては公開情報で再開を確認しにくく、日本関係船舶はなお相当数が湾内で待機しているという姿です。日本向けタンカーの正確な隻数は公開AISと公表資料だけでは確定しにくく、まず「日本関係船」と「日本向けタンカー」を分けて見る必要があります。

背景と概要

今回の混乱が本格化したのは、2026年2月末の米・イスラエルによるイラン攻撃後です。3月1日には日本の大手海運各社がホルムズ周辺での運航停止や待機を決め、追加船の派遣も見合わせました。日本の原油輸入は中東依存度が高く、ホルムズ海峡は日本にとって単なる国際ニュースではなく、供給そのものを左右する海上の要衝です。

ただし、ここで注意したいのは、公開情報で「日本向け」を数える難しさです。タンカーは途中で仕向け地表示が変わることがあり、AISの一般公開情報だけでは最終需要地が日本かどうかを断定しにくい場合があります。そのため、いま把握しやすいのは、日本企業が所有・運航する「日本関係船」の動きと、日本国内の受け入れ側がどう代替調達に動いているかの二つです。

現在の状況

現時点で最も重い事実は、日本向け原油タンカーの流れがなお細いことです。3月24日時点で船舶追跡会社Kplerのデータでは、3月上旬以降、ホルムズから日本向けに出たタンカーは確認されていませんでした。日本政府も同時期に、サウジアラビアのヤンブー港やUAEのフジャイラ港など、ホルムズ海峡を通らない代替ルートから日本向けの船を手当てしていると説明しています。

一方、日本関係船舶全体では、直近まで「45隻がペルシャ湾内で待機」という数字が続いています。3月24日の日本船主協会の説明では、日本関係船45隻が安全性の高い場所を選んで待機しており、食料・水・燃料は確保されているものの、早期の湾外脱出が課題だとされました。4月3日の報道でも、国土交通省データとして日本企業が所有・運航する船およそ45隻がなお地域内に取り残されていると伝えられています。

もっとも、「完全停止」が続いているわけでもありません。4月3日には、商船三井が共同保有するLNG船Sohar LNGが海峡を通過し、同じく商船三井系のLPG船Green Sanviもイラン領海側ルートで湾外へ出ました。ただし、公開された船舶データではGreen Sanviの表示仕向け地はインドで、同時に通過した別の大型ガス船Danisaは中国向けでした。つまり、日本関係の船が動き始めたことは確認できても、それがそのまま「日本向け原油タンカーの通常再開」を意味するわけではありません。

4月17日から18日にかけては、ホルムズ海峡の通航条件がさらに少し動きました。イラン側は海峡は開いているとしつつも、通航には革命防衛隊との調整が必要で、安全とみなしたレーンだけを使う形だと説明しています。同時に、米海軍は機雷の脅威が十分に把握できていないとして、交通分離帯の回避も検討すべきだと警告しました。4月18日には8隻のタンカー群が海峡を通過しましたが、ここで確認されたのは「管理された限定通航」であり、通常運航への全面復帰ではありません。

注目されるポイント

第一に、「日本関係船」と「日本向けタンカー」を混同しないことが重要です。45隻という数字は、日本向け原油タンカーの数ではなく、日本企業が所有・運航する船を含む全体像です。この中には原油タンカーだけでなく、LNG船やLPG船なども含まれます。したがって、「45隻の日本向けタンカーが足止めされている」とまでは言えません。

第二に、公開情報から見えるのは、日本向け原油そのものがホルムズ依存から一時的に切り離されつつあることです。日本政府は備蓄放出を進めると同時に、米国やホルムズを通らない積み出し拠点からの調達を増やしており、4月10日時点では5月までに輸入の過半を非ホルムズ経路で確保できる見通しを示しました。これは、日本向け原油タンカーの本格再開を待つだけではなく、需要側でルートを組み替えているということです。

第三に、海峡の現状は「通されているか、止められているか」の二択ではありません。実態はその中間で、友好国とみなされる船の一部が条件付きで通り、他の船は待機や反転を余儀なくされる状態です。4月18日のタンカー群通過は前進ではありますが、機雷リスクと政治条件が残る限り、通航は依然として不安定です。

今後の見通し

今後の焦点は二つあります。一つは、管理付きの通航が一時的措置で終わるのか、それとも通常運航へ移行するのかという点です。革命防衛隊との事前調整や安全レーン指定が続くなら、海峡は開いていても、商業的には「完全再開」とは言えません。船主や保険会社が本格的に動くには、安全確認の積み上げが必要です。

もう一つは、日本向け原油タンカーの再開がどの順番で起きるかです。公開情報で確認できる範囲では、まず起きているのは湾内に滞留した船の限定的な脱出であり、日本の輸入向け原油フローの本格回復ではありません。当面は、備蓄放出と代替調達で時間を稼ぎながら、ホルムズの通航条件がどこまで安定するかを見極める局面が続くとみられます。

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