原油市場日報 2026年6月3日

原油価格は続伸しました。Brentは96ドル、WTIは93ドル台まで上昇し、米国とイランの協議が続いているにもかかわらず、ホルムズ海峡の通航回復が見えないことが市場の不安を強めています。円相場も1ドル160円に接近しており、日本ではガソリン価格や物流コストへの警戒を緩めにくい状況です。
きょうの値動き
米国時間6月2日の原油市場では、Brent先物が1バレル96.00ドルで取引を終え、前日比1.02ドル高、上昇率は1.1%でした。WTI先物は93.76ドルで、前日比1.60ドル高、上昇率は1.7%です。両指標とも5月26日以来の高値で引けました。前日の急反発に続き、原油価格は再び上値を試しています。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。イランは米国が提示した戦争終結案を検討していますが、両国間の連絡が数日途絶えているとの報道もあります。トランプ米大統領は交渉継続を強調していますが、ホルムズ海峡は依然として大部分が閉じた状態です。市場は「合意が近い」という期待よりも、「実際の通航再開が見えない」という現実を重く見ています。
需給面でも、原油価格を支える材料が出ています。API統計では、5月29日までの週に米原油在庫が680万バレル減少し、7週連続の取り崩しとなりました。一方、ガソリン在庫は350万バレル増えており、原油そのものの逼迫と燃料需要の強弱が入り交じっています。
市場心理・ポジション調整の面では、和平期待で売っていた短期筋の買い戻しも入りました。金融市場要因としては、円相場が1ドル159円台後半まで下落しており、日本の輸入コストを押し上げやすい組み合わせです。
この動きは一時反応か
今日の上昇には短期的な買い戻しも含まれますが、供給不安は一時的とは言いにくい状態です。IEAは、仮に合意が成立してもホルムズ海峡の再開には最良のケースで6〜8カ月かかる可能性があると指摘しました。湾岸産油国から失われた供給は日量約1400万バレル規模に達しており、米州の増産だけでは十分に穴埋めできません。
アジア向けの米国産原油輸入は増えていますが、5月にホルムズ海峡経由でアジアへ届いた原油は日量約120万バレルと、危機前の約1354万バレルを大きく下回っています。原油価格が今後どうなるかは、和平報道よりも船舶通航の実数で決まります。
日本への影響
日本では、Brentの96ドル台と円安が同時に進むことが重い材料です。原油価格が100ドルを下回っていても、円換算の輸入負担は下がりにくく、ガソリン価格、電気代、航空運賃、食品や日用品の物流費に波及する可能性があります。ホルムズ海峡の通航回復が遅れれば、夏場の家計負担は再び強まりかねません。
明日の注目点
明日は、Brentが100ドル方向へ上昇するか、WTIが95ドル台を試すかが焦点です。加えて、日本時間3日夜に公表されるEIA週間石油統計で、APIと同様の大幅な原油在庫減少が確認されるかを見たいところです。EIA公式サイトでも、次回の週間統計は6月3日公表予定とされています。
