原油市場日報 2026年6月6日

週末前の原油価格は続落しました。Brentは93ドル台、WTIは90ドル台まで下がりましたが、週間では3週ぶりの上昇です。米国とイランの衝突激化への警戒がやや後退する一方、ホルムズ海峡の通航制約と在庫減少は続いています。日本では円安も重なり、ガソリン価格や物流コストへの警戒を緩めにくい週末です。
きょうの値動き
米国時間6月5日の原油市場では、Brent先物が1バレル93.09ドルで取引を終え、前日比1.94ドル安、下落率は2.04%でした。WTI先物は90.54ドルで、前日比2.50ドル安、下落率は2.69%です。ただし週間ではBrentが1.18%、WTIが3.64%上昇し、両指標とも3週ぶりの週間高となりました。
なぜ動いたのか
主因は、地政学リスクの一部後退です。市場では、米国とイランの衝突が直ちに再拡大する可能性は低下したとの見方が広がりました。また、オマーンのミナ・アル・ファハル港で積み込み停止が報じられたものの、運営側は操業への影響を否定しました。これが短期的な売り材料になりました。
ただし、需給面には強い不安が残っています。ホルムズ海峡の通航量はなお限定され、イラン産原油の輸出は米海上封鎖の影響で6年ぶりの低水準です。一方、中国の需要低迷や輸出ルートの変更が、価格の上値を抑えています。
金融市場要因では、米雇用統計が予想を上回り、年内利上げ観測が強まりました。ドル高と金利上昇は原油需要への懸念につながり、原油価格の重しになりました。円相場は1ドル160円台まで下落しており、日本にとっては厳しい組み合わせです。
この動きは一時反応か
今回の下落は、短期的なリスクプレミアムの調整と見るのが妥当です。原油価格は100ドルを下回っていますが、供給余力が十分に戻ったわけではありません。Reutersは、米国の原油在庫と戦略備蓄を合わせた水準が2024年2月以来の低さとなり、在庫減少が8週続いていると報じています。
つまり、足元は落ち着いて見えても、在庫という「緩衝材」は薄くなっています。ホルムズ海峡の通航回復が遅れれば、夏の需要期に再び価格が跳ねる可能性があります。
日本への影響
日本では、Brentが93ドル台へ下がったこと自体は安心材料です。ただし、円安が1ドル160円台まで進んでいるため、円換算の輸入負担は下がりにくい状況です。原油価格が横ばいでも、ガソリン価格、電気代、航空運賃、食品や日用品の物流費には上昇圧力が残ります。
週明けの注目点
週明けは、Brentが90ドル台前半で下げ止まるか、WTIが90ドルを維持できるかが焦点です。加えて、米国とイランの交渉、レバノン停戦をめぐる動き、ホルムズ海峡の実際の通航量を確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、和平報道の見出しだけでなく、在庫減少が止まり、船舶が平時に近い水準まで戻るかで決まります。
