原油市場日報 2026年5月29日

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原油価格は、方向感の出にくい一日となりました。Brentは93ドル台で小幅安、WTIは88ドル台で小幅高とまちまちでしたが、米国とイランの停戦延長をめぐる報道が交錯し、ホルムズ海峡の再開期待と供給不安がぶつかっています。日本にとっても、ガソリン価格や物流コストの先行きを読むうえで重要な局面です。

きょうの値動き

米国時間5月28日の原油市場では、Brent原油7月限が1バレル93.71ドルで取引を終え、前日比58セント安、下落率は0.6%でした。一方、より取引の中心に移りつつあるBrent8月限は92.97ドル近辺で上昇しており、WTI原油先物は88.90ドルで前日比22セント高、上昇率は0.3%でした。前日の急落後、Brentは90ドル台前半、WTIは80ドル台後半で下げ渋った形です。

なぜ動いたのか

主因は地政学です。米国とイランの停戦を60日延長する案が伝えられた一方で、合意にはまだ米大統領の承認が必要とされ、イラン側も覚書の文面は未確定との見方を示しています。ホルムズ海峡の再開期待は原油価格の下押し材料ですが、正式合意が見えないため、市場は売り切れませんでした。

需給面では、米原油在庫の減少が価格を支えました。EIAの週報は5月22日までの週を対象に、5月28日に公表されました。Reutersによると、米原油在庫は330万バレル減少し、6週連続の取り崩しとなりました。ただし、市場予想の410万バレル減よりは小さく、強い買い材料にはなりきりませんでした。

金融市場要因としては、原油価格の落ち着きがインフレ警戒をやや和らげる一方、米国とイランをめぐる見出しが出るたびに金利や株式市場にも波及しやすい状態です。市場心理・ポジション調整では、ホルムズ海峡リスクを買っていた投資家が利益確定を進める一方、88ドル台のWTIでは押し目買いも入りました。

この動きは一時反応か

今回の値動きは、一時的なリスクプレミアムの調整と見るのが妥当です。Brentが90ドル台前半まで下がったことで、相場はかなり落ち着いたように見えます。しかし、ホルムズ海峡の通航量はなお戦争前の一部にとどまっていると報じられており、供給不安が完全に消えたわけではありません。

構造的な原油安に変わるには、停戦延長の正式承認、イラン側の合意確認、ホルムズ海峡の通航回復、そして米在庫減少の停止が必要です。現時点では「和平期待で上値は重いが、在庫減と通航不安で下値も限られる」相場です。

日本への影響

日本にとっては、Brentが100ドルを割り込んだことはガソリン価格や電気代への上昇圧力を和らげる材料です。ただし、90ドル台前半でも平時と比べれば高めであり、円安やタンカー保険料、輸送コストが残れば、国内価格の下落は遅れます。中東産原油への依存度が高い日本では、ホルムズ海峡の安全確認が進むかどうかが、家計と企業コストの分かれ目です。

明日の注目点

週末前の焦点は、Brentが90ドル台前半で下げ止まるか、WTIが90ドルを回復できるかです。加えて、米国とイランの停戦延長が正式承認されるか、ホルムズ海峡の船舶通航が実際に増えるか、米原油在庫の減少が次週も続くかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、和平期待の見出しだけでなく、実際に原油と石油製品が市場へ戻るかで決まります。

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