原油市場日報 2026年6月2日

原油価格は、週明けに急反発しました。Brentは94ドル台、WTIは92ドル台まで上昇し、米国とイランの交渉停滞、ホルムズ海峡の封鎖リスクが再び市場の中心材料になっています。先週末まで広がっていた和平期待は後退し、日本のガソリン価格や物流コストにも警戒が必要な局面です。
きょうの値動き
米国時間6月1日の原油市場では、Brent先物が1バレル94.98ドルで取引を終え、前日比3.86ドル高、上昇率は4.2%でした。WTI先物は92.16ドルで、前日比4.80ドル高、上昇率は5.5%です。取引中には両指標とも6%超上昇する場面があり、先週の急落から一転して、供給不安を買い直す動きが強まりました。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。イラン側メディアは、テヘランが米国との間接交渉を停止し、ホルムズ海峡の完全封鎖や、紅海につながるバブ・エル・マンデブ海峡での混乱も検討していると報じました。さらに米国とイランの攻撃の応酬、イスラエル軍のレバノンでの作戦拡大も重なり、中東情勢への警戒が一気に強まりました。
需給面では、ホルムズ海峡の混乱が長期化した場合の在庫不足が意識されています。Reutersの事前調査では、5月29日までの週の米原油在庫は約360万バレル減少した可能性があります。市場心理・ポジション調整の面では、先週まで和平期待で原油を売っていた短期筋が、緊張再燃を受けて買い戻しに動いたと見られます。
金融市場要因としては、原油高によるインフレ再燃への警戒も強まりました。ドル円は1ドル159円台後半で推移しており、日本にとっては「原油高」と「円安」が同時に進む厳しい組み合わせです。
この動きは一時反応か
今日の急騰は、直接的には交渉停止報道に反応した一時的な値動きです。実際、トランプ米大統領が交渉停止を把握していないと述べ、ヒズボラ側とも間接的に協議したと説明すると、原油価格は高値から上げ幅を縮めました。
ただし、供給不安そのものは一時的とは言い切れません。中東からの原油輸出は、危機前の日量約1830万バレルから、3月以降は約880万バレルまで落ち込んでいます。中国や欧州の需要減速は上値を抑える材料ですが、ホルムズ海峡の通航が戻らなければ、原油価格は再び急騰しやすい状態です。
日本への影響
日本では、Brentが再び95ドル近くまで上がり、円安も進んでいる点が重い材料です。日本は中東産原油の代替として米国産原油の調達を増やしており、5月の米国産原油輸入は日量80万8000バレルと過去最高になりました。ただし、調達先を切り替えても、輸送費や保険料が高止まりすれば、ガソリン価格、電気代、航空運賃、物流費への圧力は残ります。
明日の注目点
明日は、Brentが95ドル台を維持するか、WTIが再び90ドルを割り込まずに踏みとどまるかが焦点です。あわせて、米国とイランの協議が本当に停止したのか、ホルムズ海峡とバブ・エル・マンデブ海峡で船舶リスクが広がるのか、米原油在庫の減少が確認されるのかを見たいところです。原油価格が今後どうなるかは、和平期待の見出しよりも、実際に船が安全に通れるかで決まります。

