原油市場日報 2026年7月15日

原油価格は、きょう朝時点で一段高となりました。Brentは84ドル台、WTIは79ドル台で取引を終え、米国によるイラン海上封鎖の再開とホルムズ海峡周辺の船舶攻撃が、再び原油市場の主役になっています。日本にとっても、ガソリン価格や物流コストへの上振れリスクを警戒すべき局面です。
きょうの値動き
米国時間7月14日の原油市場では、Brent先物が1バレル84.73ドルで取引を終え、前日比1.43ドル高、上昇率は1.7%でした。WTI先物は79.34ドルで、前日比1.20ドル高、上昇率は1.5%です。Brentは6月12日以来、WTIは6月15日以来の高値で引けており、前日の急騰に続いて中東リスクを織り込む動きが続きました。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。米国がイランに対する海上封鎖を再開し、ホルムズ海峡を通る供給に不安が広がりました。Reutersによると、イラン戦争前には世界の原油供給の約20%がホルムズ海峡を通過しており、ここで通航不安が出ると、実際の供給量以上に価格へリスクプレミアムが乗りやすくなります。
さらに、イランのミサイルがUAEの石油タンカーに命中し、死傷者が出たとの報道も買い材料になりました。一方で、トランプ米大統領がホルムズ海峡通航に20%の警備料を課す案を取り下げたことで、上値は一時抑えられました。つまり、きょうの原油価格は「供給不安で上昇しつつ、過度な規制懸念の後退で上げ幅が抑えられた」動きです。
需給面では、米在庫が焦点です。EIAの最新週報では、7月3日までの週に米商業用原油在庫は前週比300万バレル増えた一方、ガソリン在庫は190万バレル減、留出油在庫は500万バレル減となりました。原油在庫は増えても、ガソリンや軽油の在庫が薄いため、夏場の燃料需給への警戒は残っています。
金融市場要因としては、原油高がインフレ懸念を再び強めています。米国では6月の消費者物価がエネルギー価格下落で鈍化した一方、足元の原油急騰がその効果を打ち消す可能性も意識されています。市場心理・ポジション調整では、Brentが2日連続でテクニカル上の買われすぎ圏に入っており、買い戻しと利益確定がぶつかる荒い相場です。
この動きは一時反応か
今回の上昇は、短期的には地政学ヘッドラインへの反応です。ただし、軽視はできません。ホルムズ海峡の交通量が2カ月ぶりの低水準に落ちたとの指摘もあり、船舶リスクが続けばBrentの80ドル台定着だけでなく、90ドル方向への上振れもあり得ます。
一方で、構造的な原油高に完全に戻ったと断定するのは早いです。米国が20%通航料案を取り下げたことや、需要減速懸念が上値を抑えています。現時点では「中東リスクで跳ねやすいが、高値では需要不安も出やすい」相場です。
日本への影響
日本にとって、Brentの84ドル台は警戒水準です。6月下旬から7月上旬にかけて70ドル台前半まで下がっていたため、ここからの上昇が続けば、ガソリン価格、電気代、航空運賃、物流コストへの下押し効果は弱まります。特にホルムズ海峡の船舶リスクが残る場合、タンカー保険料や運賃が高止まりし、原油価格以上に輸入コストを押し上げる可能性があります。
円安が重なれば、ドル建て原油価格の上昇は国内価格にさらに強く響きます。家計目線では、Brentが80ドル台で定着するか、WTIが80ドルに乗せるか、そしてホルムズ海峡の通航が実際に回復するかを見る必要があります。
明日の注目点
明日は、Brentが85ドル台を突破するか、WTIが80ドル台に乗せるかが焦点です。あわせて、米国のイラン海上封鎖がどこまで続くか、ホルムズ海峡の船舶攻撃が再発するか、そして米EIA週間石油統計で原油在庫が減少に転じるかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、中東情勢の見出しだけでなく、燃料在庫と実際のタンカー通航量で決まる局面です。
