金価格週報 2026年7月第3週|金相場は反落、軟調CPIでも中東リスクと米金利高止まりが重荷に

今週の金価格は約2.5%下落。米CPI・PPI、米金利、ドル円162円台、中東情勢を整理し、来週の金価格の注目点を解説します。

今週の金価格はどう動いたか

2026年7月13日から7月17日の金価格は、週間で下落しました。ドル建て金スポット価格は週初の4,122.63ドルから週末の4,017.60ドルへ下がり、騰落率は約2.5%の下落です。週中には軟調な米CPIとPPIを受けて反発する場面がありましたが、中東情勢の緊迫、原油高によるインフレ再燃懸念、米金利の高止まりが上値を抑えました。ドル円は162円台へ上昇し、円建て金価格の下落はドル建てよりやや小さくなりました。来週は、中東情勢、米金利、ドル円、FRB高官発言が焦点です。

価格データで見る一週間の流れ

対象期間:2026年7月13日から2026年7月17日
週初の金価格:4,122.63ドル
週末の金価格:4,017.60ドル
一週間の騰落幅:マイナス105.03ドル
一週間の騰落率:約2.5%下落
週中高値:4,122.63ドル
週中安値:3,959.69ドル
確認時点:2026年7月18日 日本時間
参照価格:ドル建て金スポット価格、XAU/USD
補足価格:COMEX金先物は週末に4,012.70ドル
価格参照元:Investing.com、WSJ、Reuters、BLS、BEA

本記事では、Investing.comのXAU/USD日足データを基準に、7月13日の始値を週初価格、7月17日の終値を週末価格として計算しています。7月13日は4,122.63ドルで始まりましたが、同日中に4,001.84ドルまで下落。その後、7月14日は軟調な米CPIを受けて反発したものの、7月16日に再び大きく下げ、7月17日は4,017.60ドルで引けました。

COMEX金先物でも下落が確認されています。WSJは、フロントマンスのCOMEX金が週間で91.40ドル、率にして2.23%下落し、4,012.70ドルで週を終えたと報じています。参照する価格指標によって数値はやや異なりますが、今週の金相場は「前週から反落」と見るのが自然です。

金価格を動かした主な材料

今週の金価格を動かした材料は、米インフレ指標、中東情勢、米金利、ドル円の4つです。特に重要だったのは、軟調なインフレ指標が出たにもかかわらず、金価格が週間で上昇しきれなかった点です。

7月14日に発表された6月の米CPIは、前月比で0.4%低下し、前年比では3.5%上昇となりました。5月の前年比4.2%から鈍化し、食品とエネルギーを除くコアCPIも前年比2.6%へ低下しました。通常であれば、インフレ鈍化はFRBの利上げ観測を後退させ、金価格の支えになりやすい材料です。

ただし、今週は中東情勢の緊迫が市場の見方を複雑にしました。Reutersは、米国とイランの対立が新たな段階に入り、ホルムズ海峡や原油価格への警戒が続いていると報じています。中東リスクは安全資産需要を支える一方、原油高を通じてインフレ懸念を再び強める可能性があります。今週の金相場では、このインフレ再燃リスクが上値を抑えました。

米金利の影響

米10年債利回りは、7月13日の4.618%から7月17日の4.545%へ低下しました。週中には4.635%まで上昇する場面がありましたが、週末にはやや低下しています。米金利の低下は本来、利息を生まない金にとって支えになりやすい材料です。

それでも金価格が週間で下落したのは、利回りの「低下幅」よりも「水準の高さ」が意識されたためです。4.5%前後の米10年債利回りは、金を保有する機会費用を意識させやすい水準です。さらに、中東情勢が原油高につながれば、インフレ懸念が再び強まり、FRBが利下げに動きにくくなるとの見方も残ります。

PPIも金相場の材料になりました。6月の米PPIは前月比0.3%低下し、前年比では5.5%上昇となりました。Reutersは、PPIが予想外に低下した一方、インフレリスクはなお上向きに傾いていると報じています。短期的には金価格の支えになりましたが、中東情勢と高金利の重さを打ち消すほどではありませんでした。

ドルと為替の影響

米ドル指数は、7月13日の101.24から7月17日の100.76へ小幅に低下しました。7月14日と15日には、軟調な米CPIを受けてドル安が進む場面がありました。ドル建てで取引される金は、ドル安になると他通貨の投資家にとって買いやすくなるため、通常は支えになりやすくなります。

ただし、今週はドル安だけで金価格を押し上げるには力不足でした。ドル指数は100台を維持しており、明確なドル安トレンドとは言いにくい動きです。金価格の下落要因としては、ドルそのものよりも、米金利の高止まりと中東情勢を通じたインフレ懸念のほうが大きかったと考えられます。

ドル円は、7月13日の161.69円から7月17日の162.39円へ上昇しました。週中には162.56円まで円安が進む場面もあり、円建て金価格には一定の下支えが入りました。

日本の読者にとっては、ドル建て金価格だけでなくドル円の確認が欠かせません。今週はドル建て金価格が約2.5%下落しましたが、ドル円が円安方向へ動いたため、円建て金価格の下落はやや抑えられました。

地政学リスクと安全資産需要

中東情勢は、今週の金価格を読むうえで欠かせない材料です。地政学リスクが強まる局面では、安全資産として金が買われやすくなります。一方で、ホルムズ海峡や原油供給への不安が強まると、原油価格上昇を通じてインフレ懸念が再燃し、米金利の高止まりにつながることがあります。

Reutersは、米国とイランの戦闘再開やホルムズ海峡をめぐる緊張が続くなか、原油高が再び物価を押し上げる可能性があると伝えています。実際、FRB議長もインフレ抑制がまだ完了していないとの見方を示しており、市場では「軟調なCPIだけでは安心できない」という受け止めが残りました。

今週の金相場は、地政学リスクがあるから金が買われる、という単純な流れではありませんでした。安全資産需要は下支えになったものの、原油高、インフレ、米金利という経路が重荷になり、金価格は週全体では下落しました。

金ETFと中央銀行需要

金ETF・貴金属ファンドには、久しぶりに資金流入が見られました。Reutersによると、7月15日までの週に金・貴金属ファンドへ3億7,600万ドルが流入し、8週続いた資金流出が止まりました。これは、金価格が下げた局面で一部の投資家が押し目を拾ったことを示す材料です。

ただし、ETFフローが改善したからといって、短期の金価格がすぐに上昇基調へ戻るとは限りません。高金利環境では、利息を生まない金を保有するコストが意識されやすく、ETF需要も金利見通しに左右されます。

中央銀行需要は中期的な下支え材料として引き続き重要です。ここ数カ月の金価格週報でも確認してきた通り、中央銀行の金購入は金相場の構造的な支えとして意識されています。ただし、短期の一週間の値動きでは、米金利、ドル、地政学リスクの影響がより強く出やすい点に注意が必要です。

円建て金価格はどう見ればよいか

円建て金価格は、ドル建て金価格とドル円の掛け合わせで動きます。今週は、ドル建て金価格が約2.5%下落した一方、ドル円は161円台後半から162円台前半へ円安方向に動きました。そのため、円建て金価格の下落率は概算で約2.1%にとどまりました。

週初の円建て参考価格:1グラムあたり約2万1,400円
週末の円建て参考価格:1グラムあたり約2万1,000円
一週間の騰落幅:1グラムあたり約460円下落
一週間の騰落率:約2.1%下落

週末の計算方法:4,017.60ドル ÷ 31.1035 × 162.39円
円建て参考価格:1グラムあたり約2万1,000円

この数値は、国際価格と為替を使った概算です。国内小売価格、消費税、手数料、販売店価格とは一致しません。

ドル建て金価格が下落しても、円安が進めば円建て金価格の下落は抑えられます。反対に、ドル建て金価格の下落と円高が重なると、円建てでは下げが大きくなりやすくなります。今週は円安が一定のクッションになりました。

来週の注目ポイント

来週の金価格を見るうえで、まず注目したいのは中東情勢です。米国とイランの対立が長引き、原油価格が上昇する場合、安全資産需要が意識される一方で、インフレ懸念と米金利高止まりを通じて金価格の重荷になる可能性があります。

次に、米金利です。米10年債利回りが4.5%台で高止まりする場合、金価格には引き続き逆風になりやすいでしょう。一方、軟調なCPI・PPIを受けて利回りが明確に低下すれば、金価格の下支え材料になりやすくなります。

FRBの次回FOMCは7月28日から29日に予定されています。来週はFOMC直前の週となるため、FRB高官発言や市場の利上げ確率の変化が金相場に影響しやすい局面です。

米PCE価格指数にも注意が必要です。BEAによると、次回のPCE価格指数は7月30日に発表予定です。FOMC直後の材料となるため、来週はPCE発表をにらみながら、CPI・PPIで後退したインフレ懸念が再び強まるかどうかを確認する週になりそうです。

ドル円も日本の読者にとって重要です。162円台で円安が続けば、円建て金価格はドル建てより下がりにくくなります。ただし、円高方向へ急に戻る場合は、円建て金価格にも下押し圧力がかかります。

まとめ

2026年7月13日から7月17日の金価格は、週間で約2.5%下落しました。軟調な米CPIとPPIは一時的に金価格を支えましたが、中東情勢の緊迫、原油高を通じたインフレ再燃懸念、米金利の高止まりが重荷となりました。

円建て金価格は、ドル建て金価格の下落を円安が一部相殺しました。週末時点の概算では、1グラムあたり約2万1,000円の水準です。

来週は、中東情勢、米10年債利回り、米ドル指数、ドル円、FRB高官発言、FOMCを前にした利上げ観測を確認することが重要です。特に、軟調なインフレ指標が金価格の下支えになるのか、それとも地政学リスクによるインフレ懸念が再び上回るのかが焦点になります。

本記事は市場情報の整理を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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