原油市場日報 2026年7月17日

原油価格は、中東情勢の緊迫が続くなかで反落しました。ただし、ホルムズ海峡の通航量減少という実需に直結する問題は解消しておらず、相場の下落を供給不安の後退とみるのは早計です。日本でもガソリン価格や物流コストへの波及を考えるうえで、海上輸送の正常化が重要になります。
きょうの値動き
米国時間16日の取引で、Brentは1バレル84.23ドル、WTIは78.95ドルで終了しました。Brentは前日比72セント、WTIは65セント下落し、ともに約1%安となりました。取引時間中には一時1%を超えて上昇しましたが、その後は利益確定売りに押されました。それでも、価格は6月中旬以来の高値圏を維持しています。
なぜ動いたのか
主因は市場心理とポジション調整です。中東情勢の悪化を受けた買い戻しがすでに進み、短期筋の売り持ち解消が一巡したことで、上昇の勢いが弱まりました。地政学面では、イランが米国による電力インフラ攻撃に備え、フーシ派に紅海航路の遮断準備を求めたと報じられています。ホルムズ海峡とバブ・エル・マンデブ海峡が同時に不安定化するリスクは、原油価格の下支え材料です。
需給面では、イラクの原油積み出しが7月前半に日量約120万バレルへ増えたことが上値を抑えました。金融市場要因では、ドルが1カ月ぶりの安値圏にあることがドル建て原油を支えましたが、地政学材料ほど強い影響にはなりませんでした。
この動きは一時反応か
今回の下落は、急上昇後の一時的な調整という色合いが濃いとみられます。ホルムズ海峡を通過した船舶は前日の13隻から9隻へ減少し、大型原油タンカーやLNG船の通航も確認されませんでした。価格は下がっても、実際の輸送制約は残っているため、構造的な供給不安は続いています。
日本への影響
Brentが80ドル台半ばで推移し、海上保険料やタンカー運賃が上昇すれば、日本の原油調達コストは高止まりしやすくなります。円安が重なった場合は、ガソリン価格だけでなく、物流費、電気代、食品や日用品の価格にも時間差で影響が広がる可能性があります。
明日の注目点
次に見るべき材料は、ホルムズ海峡の通航量が回復するか、紅海航路への脅威が具体化するかです。輸送の正常化が確認されれば原油価格は調整しやすくなりますが、商船への攻撃や通航停止が広がれば、Brentが再び直近高値を試す展開が意識されます。
