原油市場日報 2026年5月30日

週末前の原油価格は続落しました。Brentは92ドル台、WTIは87ドル台まで下がり、週間でも大幅安です。米国とイランの停戦合意への期待から、ホルムズ海峡リスクの上乗せ分が剝がれています。ただし、海峡の通航はまだ平常化しておらず、日本のガソリン価格や物流コストへの警戒を解くのは早い段階です。
きょうの値動き
米国時間5月29日の原油市場では、Brent先物7月限が1バレル92.05ドルで取引を終え、前日比1.66ドル安、下落率は1.8%でした。WTI先物も87.36ドルで、前日比1.54ドル安、下落率は1.7%です。週間ではBrentが約11%、WTIが9%超下落し、いずれも4月半ば以来の安値圏に入りました。
なぜ動いたのか
主因は地政学リスクの後退です。米国とイランは停戦延長とホルムズ海峡の通航制限解除をめぐる暫定合意に近づいていると報じられました。正式決着ではありませんが、市場は「原油が届かない最悪シナリオ」の後退を先回りして織り込んでいます。
一方、需給面には強気材料も残ります。EIAによると、米商業用原油在庫は前週比330万バレル減、ガソリン在庫は260万バレル減、留出油在庫も210万バレル減でした。原油在庫は季節平均を約2%、ガソリン在庫は約6%下回っています。つまり、原油価格がなぜ下がったのかといえば、在庫が余ったからではなく、和平期待で市場心理が変わったためです。
この動きは一時反応か
今回の下落は、短期的にはリスクプレミアムの剝落です。ただし、ホルムズ海峡の通航量はなお紛争前の一部にとどまり、エネルギー物流の正常化には時間がかかる可能性があります。Reuters調査でも、2026年のBrent平均予想は90.44ドル、WTIは84.63ドルへ引き上げられました。和平が成立しても、すぐに平時へ戻るとは限りません。
日本への影響
日本にとって、Brentの92ドル台は一息つける水準です。ただし、Reutersは日本の原油輸入が4月に前年同月比66%減少したと報じています。円安、タンカー運賃、保険料の高止まりが残れば、海外の原油安が国内のガソリン価格や電気代にすぐ反映されるとは限りません。
週明けの注目点
週明けは、Brentが90ドルを維持できるか、WTIが85ドル台まで下がるかが焦点です。加えて、米国とイランの停戦延長が正式に決まるか、ホルムズ海峡の船舶通航が実際に増えるかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、和平報道の見出しではなく、原油と石油製品が本当に市場へ戻るかで決まります。

