原油市場日報 2026年6月5日

原油価格は、3営業日続伸のあと急反落しました。Brentは95ドル台、WTIは93ドル台まで下がり、前日に意識された「100ドル接近」はいったん後退しています。主因はイスラエルとレバノンの停戦合意です。ただし、ホルムズ海峡の通航制約やイラン産原油の輸出減少は続いており、日本のガソリン価格や物流コストへの警戒を解くのはまだ早い状況です。
きょうの値動き
米国時間6月4日の原油市場では、Brent先物が1バレル95.03ドルで取引を終え、前日比2.78ドル安でした。WTI先物は93.04ドルで、前日比2.98ドル安です。下落率はいずれも約3%で、前日のBrent97.81ドル、WTI96.02ドルから押し戻されました。原油価格は、中東情勢のニュースによって短期間で方向が変わる荒い相場です。
なぜ動いたのか
主因は地政学リスクの一部後退です。イスラエルとレバノンが停戦実施で合意したことで、米国とイランの和平協議にも進展が出るのではないかとの期待が広がりました。ホルムズ海峡の再開につながれば、原油価格に乗っている供給不安の上乗せ分は剝がれやすくなります。
需給面には、価格を支える材料も残っています。米原油在庫は前週比800万バレル減少し、市場予想を大きく上回る取り崩しとなりました。さらに、イランの5月の原油・コンデンセート輸出は日量20万〜26万バレル程度まで落ち込み、少なくとも6年ぶりの低水準です。
金融市場要因としては、原油安がインフレ懸念をやや和らげました。一方、円相場は1ドル160円近辺にあり、日本では海外の原油価格が下がっても輸入コストが下がりにくい状態です。市場心理・ポジション調整では、直近3日間の上昇を受けた利益確定売りも出ました。
この動きは一時反応か
今回の下落は、一時的なリスクプレミアムの剝落と見るのが妥当です。停戦合意は重要ですが、ホルムズ海峡を通る原油輸送が平時に戻ったわけではありません。船舶追跡を切ったタンカーの通航も増えているとされ、市場は実際の供給量を読み取りにくくなっています。中東では日量1100万バレル超の生産がなお止まっているとの分析もあり、構造的な供給不安は残ります。
日本への影響
Brentが95ドル台へ下がったことは、日本の家計や企業にとって一応の安心材料です。ただし、円安、タンカー運賃、保険料の高止まりが続けば、ガソリン価格、電気代、航空運賃、食品や日用品の物流費がすぐに下がるとは限りません。日本ではドル建ての原油価格だけでなく、円相場とホルムズ海峡の通航回復を同時に見る必要があります。
明日の注目点
週末前の焦点は、Brentが95ドル台で下げ止まるか、WTIが90ドル台前半を維持するかです。加えて、イスラエル・レバノン停戦が実際に守られるか、米国とイランの協議が前進するか、ホルムズ海峡の通航量が増えるかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、停戦の見出しだけでなく、実際に原油が市場へ戻るかで決まります。
