金価格週報 2026年6月第1週|金相場は約4.3%下落、米雇用統計後の金利上昇とドル高が重荷に

今週の金価格は約4.3%下落。米雇用統計後の金利上昇、ドル円160円台、中東情勢を整理し、来週のCPIなど注目点を解説します。
今週の金価格はどう動いたか
2026年6月1日から6月5日の金価格は、週間で約4.3%下落しました。週末に発表された米雇用統計が市場予想を大きく上回り、米長期金利とドルが上昇。利息を生まない金には強い逆風となりました。ドル円が160円台へ上昇したため、円建て金価格の下落率はドル建てより小さくなりました。来週は米CPI、米PPI、米金利の動きが焦点です。
価格データで見る一週間の流れ
対象期間:2026年6月1日から2026年6月5日
週初の金価格:4,521.91ドル
週末の金価格:4,329.33ドル
一週間の騰落幅:マイナス192.58ドル
一週間の騰落率:約4.3%下落
週中高値:4,546.44ドル
週中安値:4,311.41ドル
確認時点:2026年6月7日 7時05分 日本時間
参照価格:ドル建て金スポット価格、XAU/USD
補足価格:COMEX金先物8月限は6月5日に4,365.30ドルで清算
価格参照元:Investing.com、Reuters
本記事では、6月1日の始値を週初価格、6月5日の終値を週末価格として計算しています。週前半は4,400ドル台後半から4,500ドル台で推移しましたが、6月5日に急落。終値は週中安値に近い4,329.33ドルとなりました。
Reutersは6月5日午後の時点で、金スポット価格が4,341.52ドルまで下落し、週間では約4.3%安になったと報じています。本記事の週末価格とは確認時点が異なりますが、週間の方向感は一致しています。
金価格を動かした主な材料
今週の金価格を動かした最大の材料は、6月5日に発表された米雇用統計です。5月の非農業部門雇用者数は前月比17万2,000人増となり、Reutersがまとめた市場予想の8万5,000人増を大きく上回りました。4月分も17万9,000人増へ上方修正されています。
雇用市場の底堅さが確認されたことで、市場ではFRBが利下げへ動きにくいとの見方が強まりました。金は利息を生まない資産であるため、金利上昇局面では保有する機会費用が意識されやすくなります。今週はドル高も重なり、金相場には厳しい組み合わせとなりました。
米金利の影響
米10年債利回りは、6月1日から6月4日まで4.46%から4.49%程度で推移しました。6月5日の雇用統計発表後には、Reutersが4.54%への上昇を報じています。
米金利が上がると、金利収入を生まないゴールドの相対的な魅力は低下しやすくなります。今週は単に高金利が続いただけでなく、週末に追加利上げへの警戒が強まった点が重要です。
米金利先物市場では、12月までにFRBが利上げする確率が68.4%まで上昇しました。前日の52%から大きく高まっています。6月のFOMCでは政策金利を3.50%から3.75%の範囲に据え置くとの見方が中心ですが、市場の焦点は年後半の利上げ可能性へ移っています。
ドルと為替の影響
米ドル指数は、6月1日の始値98.96から6月5日の終値100.07へ上昇しました。週末には心理的な節目となる100を上回っています。ドル建てで取引される金は、ドル高になると他通貨の投資家にとって割高になりやすく、価格の重荷になります。
ドル円も円安方向へ動きました。6月1日の始値159.31円から、6月5日の終値160.32円へ上昇しています。Reutersは、強い米雇用統計を受けてドル円が160円を上回り、日本当局による為替介入への警戒も再び意識されたと報じています。
日本の読者にとっては、ドル建て金価格だけでなくドル円の確認が欠かせません。今週はドル建て金価格が大きく下落しましたが、円安が進んだため、円建て金価格の下落率はやや抑えられました。
地政学リスクと安全資産需要
中東情勢も引き続き金価格の重要材料です。イラン情勢を含む中東の緊張は、安全資産としての金需要を支える面があります。一方で、原油高を通じてインフレ懸念を強めると、米金利上昇を招き、金価格の重荷になる場合があります。
Reutersによると、6月5日の北海ブレント原油先物は1バレル93.09ドルで取引を終え、週間では約1.2%上昇しました。今週は安全資産需要よりも、原油高によるインフレ懸念と米金利上昇の影響が強く出たと考えられます。
地政学リスクが高まれば、金価格が必ず上昇するわけではありません。安全資産需要、原油価格、インフレ、米金利がどのように連動するかを分けて見る必要があります。
金ETFと中央銀行需要
短期的には米金利とドルが金相場を押し下げましたが、中期的な需要材料として金ETFと中央銀行の動きも重要です。
World Gold Councilによると、2026年第1四半期の金ETF保有量は62トン増加しました。ただし、2025年第1四半期の230トン増と比べると、資金流入の勢いは鈍化しています。
中央銀行は、2026年第1四半期に金を244トン純購入しました。前年同期比では3%増です。World Gold Councilは、地政学や経済をめぐる不確実性が中央銀行の金需要を長期的に支えるとの見方を示しています。
ただし、中央銀行需要やETF資金流入は、毎日の価格変動を直接決める材料ではありません。短期では米金利とドル、中期ではETFと中央銀行需要を分けて確認すると、金相場の流れを整理しやすくなります。
円建て金価格はどう見ればよいか
円建て金価格は、ドル建て金価格とドル円の掛け合わせで動きます。今週は、ドル建て金価格が約4.3%下落した一方、ドル円は約1円の円安となりました。そのため、円建て金価格の下落率は概算で約3.7%に抑えられました。
週初の円建て参考価格:1グラムあたり約2万3,200円
週末の円建て参考価格:1グラムあたり約2万2,300円
一週間の騰落幅:1グラムあたり約900円下落
一週間の騰落率:約3.7%下落
週末の計算方法:4,329.33ドル ÷ 31.1035 × 160.32円
円建て参考価格:1グラムあたり約2万2,300円
この数値は、国際価格と為替を使った概算です。国内小売価格、消費税、手数料、販売店価格とは一致しません。
円建て金価格を見る場合は、ドル円160円台の動きにも注意が必要です。ドル建て金価格が下落しても円安が進めば、国内目線では下落が一部相殺されます。反対に、円高へ戻る局面では、円建て金価格にも下押し圧力がかかりやすくなります。
来週の注目ポイント
来週の金価格を見るうえで、最も重要なのは米国の物価指標です。米労働統計局の公表予定では、5月の米消費者物価指数が6月10日、米生産者物価指数が6月11日に発表されます。
米CPIや米PPIが市場予想を上回れば、インフレ懸念が強まり、米金利の上昇を通じて金価格の重荷になりやすくなります。一方、物価上昇が落ち着く内容であれば、週末に急落した金価格が下げ止まる材料になる可能性があります。
米10年債利回りが4.5%台で高止まりするかも重要です。さらに、米ドル指数が100台を維持するのか、ドル円が160円台で推移するのかを確認したいところです。
6月16日から17日にはFOMCも予定されています。来週のCPIとPPIは、FOMCを前にした金利見通しを左右する重要な材料になります。
中東情勢と原油価格も引き続き焦点です。原油高が続けば、安全資産需要を支える一方で、インフレ懸念と米金利上昇を通じて金価格の上値を抑える可能性があります。
まとめ
2026年6月1日から6月5日の金価格は、週間で約4.3%下落しました。5月の米雇用統計が市場予想を大きく上回り、米長期金利とドルが上昇。金相場は週末に4,300ドル台前半まで下がりました。
円建て金価格も下落しましたが、ドル円が160円台へ上昇したため、下落率は概算で約3.7%にとどまりました。日本の読者にとっては、ドル建て金価格だけでなく、円安が国内価格に与える影響も重要です。
来週は、米CPI、米PPI、米10年債利回り、米ドル指数、ドル円、中東情勢を確認する必要があります。特に物価指標が、FOMCを前にした金利見通しをどう変えるかが焦点です。
本記事は市場情報の整理を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

