原油市場日報 2026年5月5日

日本が祝日の間に、原油価格は再び大きく跳ねました。Brentは114ドル台、WTIは106ドル台まで上昇し、背景にはイランによるUAE関連施設やホルムズ海峡周辺の船舶への攻撃があります。これは海外ニュースではなく、日本のガソリン価格、電気代、物流コストにも直結する値動きです。
きょうの値動き
米国時間5月4日の原油市場では、Brent先物が1バレル114.44ドルで取引を終え、前日比6.27ドル高、上昇率は5.8%でした。WTI先物も106.42ドルとなり、前日比4.48ドル高、上昇率は4.4%です。Brentは2022年以来の高値圏に入り、WTIも100ドル台を明確に維持しました。日本市場は祝日でしたが、原油市場では「休み明けに無視できない材料」が発生した形です。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。イランがUAEの石油関連施設やホルムズ海峡周辺の船舶への攻撃を強めたことで、世界の原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の安全性に再び疑問が出ました。ホルムズ海峡は世界の海上輸送される石油・ガスの大きな通り道であり、ここが不安定になると、実際の供給減だけでなく、タンカー保険料や運賃にも上昇圧力がかかります。
需給面では、供給そのものが完全に止まったというより、「届きにくくなるリスク」が価格に乗っています。買い手は代替調達や在庫積み増しを急ぎやすく、売り手もリスク分を価格に反映しやすい局面です。
金融市場要因としては、原油高がインフレ懸念を再燃させ、株式市場や金利にも波及しました。米国株は下落し、原油高が企業コストや消費者物価を押し上げるとの警戒が広がっています。市場心理・ポジション調整では、週明けに地政学ニュースが重なったことで、売り方の買い戻しも上昇を加速させたと見られます。
この動きは一時反応か
今回の上昇は、単なる一時的なヘッドライン反応だけでは片づけにくいです。もちろん、米国や関係国の対応でホルムズ海峡の通航不安が和らげば、Brentの114ドル台には利益確定売りが出やすくなります。
ただし、EIAは最新見通しで、Brent価格が2026年第2四半期に115ドル前後でピークをつけるとの見方を示しつつ、供給障害への不確実性が原油価格にリスクプレミアムを残すと説明しています。つまり、市場は「すぐに平常化する相場」ではなく、「供給不安が残る相場」として原油価格を見始めています。
現時点では、構造的な原油高に完全移行したとまでは言えません。しかし、ホルムズ海峡リスクが続く限り、原油価格は下がっても100ドル台で下げ渋りやすい展開です。
日本への影響
日本にとっては、Brentの114ドル台はかなり重い水準です。日本は中東産原油への依存度が高く、ホルムズ海峡の不安は輸入コストに直結します。さらに円安が重なると、ガソリン価格、電気代、航空運賃、食品や日用品の物流費に波及しやすくなります。祝日明けの国内市場では、エネルギー関連株、運輸株、円相場にも注意が必要です。
明日の注目点
明日は、Brentが115ドル台に乗せるか、WTIが106ドル台を維持するかが焦点です。加えて、米国の軍事対応、ホルムズ海峡の船舶通航状況、イラン側の追加行動、そしてOPECプラスが供給不安にどう反応するかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、外交ニュースだけでなく、実際に原油と石油製品が市場へ届いているかで決まる局面です。

