原油市場日報 2026年5月6日

日本が祝日だった5月5日の海外原油市場では、原油価格が大きく反落しました。Brentは109ドル台、WTIは102ドル台まで下落しましたが、これは供給不安が消えたというより、ホルムズ海峡をめぐる最悪シナリオがいったん後退したためです。祝日明けの日本にとっても、ガソリン価格や物流コストを読むうえで見逃せない値動きです。
きょうの値動き
米国時間5月5日の原油市場では、Brent先物が1バレル109.87ドルで取引を終え、前日比4.57ドル安、下落率は4%でした。WTI先物も102.27ドルで終え、前日比4.15ドル安、下落率は3.9%です。前日に約6%上昇した反動もあり、祝日中の海外市場では「急騰後の利益確定」が一気に出た形です。
なぜ動いたのか
主因は地政学リスクの一部後退です。米国は、イランとの停戦がなお維持されているとの見方を示し、ホルムズ海峡では米国商船2隻が通過したと発表しました。ホルムズ海峡は、2月末の米・イスラエルによるイラン攻撃前には世界の石油供給の約2割が日々通過していた重要ルートです。そのため、通航再開への期待は原油価格の下押し材料になります。
需給面では、本来なら価格を支える材料もありました。市場関係者が引用したAPI統計では、5月1日までの週に米原油在庫が810万バレル減少し、ガソリン在庫も610万バレル、留出油在庫も460万バレル減少しました。つまり、在庫面では「原油価格がなぜ下がったのか」を説明しにくく、今回の下落は需給悪化よりも地政学ニュースとポジション調整の影響が大きいです。
金融市場要因としては、前日の急騰で短期筋の利益確定が出やすくなっていました。市場心理・ポジション調整の面では、「停戦が持つなら売る」「ホルムズ海峡が再び詰まるなら買い直す」という神経質な相場になっています。
この動きは一時反応か
今回の下落は、一時的な調整の色が濃いです。Brentが109ドル台、WTIが102ドル台まで下がったとはいえ、価格水準は依然として高く、原油市場が平常化したとは言えません。米国が通航支援を進め、船舶通過が増えればリスクプレミアムはさらに剝落する可能性があります。
一方で、イラン情勢が再び悪化し、ホルムズ海峡の通航が制限されれば、原油価格はすぐに上振れしやすい状態です。構造的な原油安に転じたというより、地政学リスクをめぐる過熱感がいったん冷まされた局面と見るべきです。
日本への影響
日本にとっては、祝日中にBrentが下がったこと自体は安心材料です。ただし、109ドル台はなお高く、中東産原油への依存度が高い日本には重い水準です。円安が重なれば、ガソリン価格、電気代、航空運賃、食品や日用品の物流費に波及しやすくなります。祝日明けの国内市場では、エネルギー関連株、運輸株、円相場の反応にも注意が必要です。
明日の注目点
明日は、Brentが110ドル台を回復するか、WTIが100ドル台を維持するかが焦点です。加えて、EIA在庫統計でAPIと同じ大幅な在庫減少が確認されるか、ホルムズ海峡の船舶通航が増えるか、米国とイランの停戦が維持されるかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、外交ニュースだけでなく、実際に原油と石油製品が市場へ届いているかで決まる局面です。

