原油市場日報 2026年6月26日

原油価格は、きょう朝時点で反発しました。Brentは75ドル台、WTIは71ドル台まで戻し、前日までの「ホルムズ海峡の通航回復で原油安」という流れに、再び地政学リスクが差し込んだ形です。日本にとっては、ガソリン価格や物流コストの上昇圧力が和らぎつつある一方、海運リスクが残るため油断はできません。
きょうの値動き
米国時間6月25日の原油市場では、Brent先物が1バレル75.26ドルで取引を終え、前日比1.52ドル高、上昇率は2.1%でした。WTI先物は71.92ドルで、前日比1.58ドル高、上昇率は2.3%です。前日はホルムズ海峡の原油輸送回復を受けて、両指標がイラン戦争前の水準まで下がっていましたが、きょうは中東の船舶リスクをきっかけに買い戻されました。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。オマーン沖で貨物船が飛翔体のようなものに被弾し、国連の国際海事機関がホルムズ海峡での船舶誘導支援を一時停止しました。米当局者は、イランが通航中の船舶を攻撃したとReutersに説明しており、イラン側も指定ルート外を通る船舶の安全は保証しないとの立場を示しています。
需給面では、ホルムズ海峡の通航が完全に正常化していないことが価格を支えました。Rystad Energyは、湾岸地域の貯蔵タンクが50〜60%程度埋まっており、タンカー交通の回復が遅れれば産油国が生産を絞る必要が出る可能性を指摘しています。
一方で、米国の在庫も無視できません。EIAによると、6月19日までの週の米商業用原油在庫は610万バレル減の4億1210万バレルとなり、5年平均を7%下回りました。ガソリン在庫と留出油在庫は増えたものの、いずれも5年平均を下回っています。
金融市場要因としては、前日まで売られすぎていた原油先物に短期的な買い戻しが入りました。Reutersは、技術的な買いとショートカバーも上昇を支えたと伝えています。市場心理としては、「供給回復で下がる相場」から「船舶リスクが残るなら買い戻す相場」へ一時的に揺り戻された形です。
この動きは一時反応か
今回の上昇は、一時的なヘッドライン反応の色が濃いです。Brentが75ドル台、WTIが71ドル台に戻したとはいえ、今月前半の中東危機相場と比べれば、価格水準は大きく切り下がっています。
ただし、構造的な不安が消えたわけではありません。ホルムズ海峡は戦争前に世界の石油供給の約2割が通っていた重要ルートです。ここで通航許可、船舶保険、迂回航路、攻撃リスクが残る限り、原油価格は下がっても一方向には崩れにくくなります。
日本への影響
日本にとって、Brentが70ドル台半ばにあること自体は安心材料です。この水準が続けば、ガソリン価格、電気代、航空運賃、物流コストへの上昇圧力は和らぎます。
ただし、ホルムズ海峡の通航が「再開」しても「平常化」していない点が重要です。タンカー保険料や海運コストが高止まりすれば、原油価格の下落が国内の店頭価格にすぐ反映されるとは限りません。家計目線では、Brentの70ドル台定着と、海峡通航の安定をセットで見る必要があります。
明日の注目点
明日は、Brentが75ドル台を維持するか、WTIが72ドル台を超えて戻りを強めるかが焦点です。あわせて、オマーン沖の船舶攻撃をめぐる追加情報、イランの通航条件、ホルムズ海峡を通るタンカー数、米在庫減少の継続を確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、和平報道の見出しではなく、船が安全に通り続けられるかで決まります。

