原油市場日報 2026年4月28日

原油価格は、週明けから一段と上値を伸ばしました。Brentは110ドル台、WTIは100ドル手前まで上昇し、市場は「中東情勢のニュース」ではなく「実際に供給が細っているリスク」を織り込み始めています。日本にとっても、これはガソリン価格や電気代、物流コストに直結する重要な値動きです。
きょうの値動き
Reutersによると、28日11時15分GMT時点でBrent先物は1バレル111.51ドルまで上昇し、前日比3.03%高となりました。WTI先物も99.84ドルまで上がり、前日比3.6%高です。前日の取引でもBrentは108.23ドル、WTIは96.37ドルで終えており、原油価格は2営業日続けて強い上昇となっています。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。米国とイランの停戦・和平協議が行き詰まり、ホルムズ海峡の通航がなお大きく制限されていることが、原油市場の最大材料になっています。ホルムズ海峡は世界の石油・ガス供給の約2割が通る要衝であり、ここが詰まると、実際の供給量だけでなく保険料や運賃にも上昇圧力がかかります。
需給面でも、供給不安は数字として意識され始めています。Reutersは、ホルムズ経由の原油・石油製品の供給減が日量約1000万バレル規模に及ぶとの市場関係者の見方を伝えています。これにより、単なる不安心理ではなく、買い手が代替調達や在庫確保を急ぐ展開になりやすくなっています。
金融市場要因としては、原油高がインフレ懸念を再燃させ、中央銀行の政策判断にも影を落としています。市場心理・ポジション調整の面では、Brentが7営業日続伸していることで、売り方の買い戻しも上昇に拍車をかけていると見られます。
この動きは一時反応か
今回の上昇は、単なる一時反応とは言い切れません。もちろん、米国とイランの協議が急に前進すれば、リスクプレミアムが剝落して原油価格は反落しやすくなります。しかし、現時点ではホルムズ海峡の通航制限が続き、船舶の通過量も平時より大きく落ち込んでいます。前日には、戦争前に1日140隻前後が通過していた海峡で、直近24時間の通過が少数にとどまったと報じられています。
そのため、今の原油高は「ヘッドラインだけで買われた相場」から、「供給制約を織り込む相場」へ移りつつあります。ただし、構造的な原油高になるかどうかは、通航制限が長期化するか、サウジアラビアやUAEなどの供給ルートが安定して維持されるかにかかっています。
日本への影響
日本への影響は軽くありません。Brentが110ドル台に乗ると、円安と重なった場合、輸入コストの上昇がガソリン価格、電気代、航空運賃、物流費に波及しやすくなります。Reutersは、円が1ドル159円台後半で推移し、160円接近が市場の警戒材料になっているとも伝えています。原油高と円安が同時に進むと、日本の家計や企業には二重のコスト上昇圧力になります。
明日の注目点
明日の焦点は、Brentが110ドル台を維持するか、WTIが100ドル台に乗せるかです。加えて、米国とイランの協議続報、ホルムズ海峡の船舶通航量、タンカーの運航状況、そして石油製品価格の上昇が続くかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、外交ニュースだけでなく、「実際にどれだけ原油が市場に届いているか」を見る局面に入っています。
