原油市場日報 2026年5月19日

週明けの原油価格は、再び大きく上昇しました。Brentは112ドル台、WTIは108ドル台まで上がり、イラン情勢とホルムズ海峡の供給不安が相場の中心に戻っています。日本にとっても、ガソリン価格、電気代、物流コストに直結する「まだ終わっていない原油高」です。
きょうの値動き
米国時間5月18日の原油市場では、Brent先物7月限が1バレル112.10ドルで取引を終え、前日比2.84ドル高、上昇率は2.6%でした。WTI先物6月限は108.66ドルで、前日比3.24ドル高、上昇率は3.1%です。Brentは5月4日以来、WTIは4月7日以来の高値で引けており、原油価格は週明けから強い買い戻しが入りました。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。米国とイランの戦争終結に向けた交渉が続く一方、ホルムズ海峡のほぼ閉鎖状態が長引き、供給不安が改めて意識されました。ホルムズ海峡は世界の石油供給の約2割が通る要衝であり、ここが詰まると、実際の供給量だけでなくタンカー保険料や運賃にも上昇圧力がかかります。
需給面では、IEAのビロル事務局長が商業用石油在庫の急速な減少に警戒を示し、戦略備蓄の放出も無限ではないと指摘しました。つまり、市場は「まだ在庫で耐えられる」と見ながらも、「この状態が続けば余裕がなくなる」と織り込み始めています。
金融市場要因としては、原油高がインフレ懸念を再燃させ、米長期金利の上昇やハイテク株の重しにもなりました。市場心理・ポジション調整では、米国がイラン攻撃をいったん見送ったことで引け後に上げ幅を縮めたものの、停戦交渉が決着していないため、売り方の買い戻しが入りやすい状態です。
この動きは一時反応か
今回の上昇は、一時的なヘッドライン反応だけではありません。米国によるイラン攻撃の一時停止は下落材料ですが、それでもBrentとWTIが高値で引けたのは、市場が「交渉期待」よりも「ホルムズ海峡の供給制約」を重く見ているためです。
ただし、構造的な原油高に完全移行したと断定するのも早いです。米国とイランの交渉が進み、ホルムズ海峡の再開が見えれば、リスクプレミアムは剝がれます。一方、交渉が空振りに終われば、Brentの110ドル台定着、WTIの110ドル接近が再び焦点になります。
日本への影響
日本にとっては、Brentが112ドル台まで上がったことが重い材料です。日本は中東産原油への依存度が高く、ホルムズ海峡の不安はガソリン価格、電気代、航空運賃、物流コストに波及しやすくなります。原油高が続くと、企業の仕入れコストや家計のインフレ実感にもじわじわ効いてきます。
明日の注目点
明日は、Brentが112ドル台を維持するか、WTIが109ドル台から110ドル方向を試すかが焦点です。加えて、米国とイランの交渉続報、ホルムズ海峡の実際の通航状況、そして5月20日に予定されるEIA週間石油統計を確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、和平期待の見出しではなく、実際に船が通り、在庫減少が止まるかで決まります。
