原油市場日報 2026年7月3日

原油価格は、きょう朝時点で小幅に反発しました。Brentは71ドル台、WTIは68ドル台で、米国の祝日前に買い戻しが入りました。ただし、米国とイランの協議進展、ホルムズ海峡の通航回復、サウジの輸出再開が上値を抑えており、原油市場は「中東危機で上がる相場」から「供給回復を確認する相場」へ移っています。
きょうの値動き
米国時間7月2日の原油市場では、Brent先物が1バレル71.80ドルで取引を終え、前日比23セント高でした。WTI先物は68.69ドルで、前日比11セント高です。上昇は小幅でしたが、両指標は一時、イラン戦争前の水準に近い安値圏まで下げており、週全体ではなお軟調です。米国独立記念日の連休を前に、売り持ちをいったん買い戻す動きが入りました。
なぜ動いたのか
主因は市場心理・ポジション調整です。前日まで原油価格は下落基調が続いていたため、米国の祝日前に短期筋が売りポジションを手じまう動きが出ました。価格が上がったとはいえ、地合いが強気に戻ったというより、急落後の小幅な反発です。
地政学面では、米国とイランの協議がカタール仲介で進み、ホルムズ海峡の安定通航への期待が続いています。ただし最終合意には至っておらず、完全にリスクが消えたわけではありません。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の急所であり、ここに不安が残る限り、原油価格は下がっても一方向には崩れにくくなります。
需給面では、供給回復が価格の上値を抑えています。サウジアラムコはラス・タヌラ港からの輸出を再開し、少なくとも5隻の大型タンカー、合計1000万バレル規模のサウジ原油がホルムズ海峡を出たと報じられています。アジア向け販売もスポット取引に切り替える動きがあり、供給競争が強まりやすい局面です。
一方で、米在庫はまだ薄いです。EIAによると、最新週の米商業用原油在庫は前週比380万バレル減の4億840万バレルで、5年平均を約7%下回っています。ガソリン在庫も230万バレル減り、5年平均を約7%下回りました。需給は緩み始めていますが、在庫面にはまだ余裕がありません。
この動きは一時反応か
今回の反発は、一時的な買い戻しと見るのが妥当です。Brentが71ドル台、WTIが68ドル台にあることから、6月の中東危機で乗った戦争プレミアムはかなり剝がれました。
ただし、構造的な原油安に完全移行したと断定するには早いです。UBSはホルムズ海峡を通る原油の流れが改善したことを理由にBrent見通しを引き下げましたが、これは「供給回復が続く」ことが前提です。協議が停滞したり、船舶リスクが再燃したりすれば、原油価格は再び反発しやすくなります。
日本への影響
日本にとって、Brentの70ドル台前半はガソリン価格、電気代、航空運賃、物流コストへの上昇圧力を和らげる材料です。ただし、円相場はなお1ドル161円台で推移しており、ドル建て原油価格の下落がそのまま国内価格に反映されるとは限りません。円安が続く限り、輸入コストの低下は限定的になりやすいです。
明日の注目点
次の焦点は、Brentが70ドル台を維持するか、WTIが70ドルを回復できるかです。米国市場は独立記念日の休場を挟むため、薄商いの中で中東関連ニュースに振れやすくなります。米国とイランの協議、ホルムズ海峡の通航量、サウジのスポット販売、米在庫減少の継続を確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、和平期待の見出しではなく、供給回復が数字で続くかで決まります。
