原油市場日報 2026年5月28日

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原油価格は大きく下落しました。Brentは94ドル台、WTIは88ドル台まで下がり、米国とイランの和平協議が進むとの期待から、ホルムズ海峡リスクの上乗せ分が一気に剝がれています。ただし、合意はまだ正式決着しておらず、日本のガソリン価格や物流コストへの不安が完全に消えたわけではありません。

きょうの値動き

米国時間5月27日の原油市場では、Brent先物が1バレル94.29ドルで取引を終え、WTI先物は88.68ドルまで下落しました。下落率はBrentが5.3%、WTIが5.5%で、いずれも6週間ぶりの安値圏です。前日まで残っていた「Brent100ドル前後」の攻防は崩れ、原油価格は一段下のレンジへ移った形です。

なぜ動いたのか

主因は地政学リスクの後退です。米国とイランの和平協議をめぐり、ホルムズ海峡の再開につながる可能性が意識されました。イラン側メディアは、米国の海上封鎖解除や米軍撤収を含む枠組みに言及しましたが、米国側はその内容を否定しており、合意が確定したわけではありません。それでも市場は、最悪の供給途絶シナリオが遠のいたと見て売りに傾きました。

需給面では、ホルムズ海峡を通る船舶活動が増えていることも下落材料です。中国のCOSCO関連を含むタンカーの通航が確認され、供給回復への期待が強まりました。一方で、完全な正常化には時間がかかる可能性があり、物流網や保険料、港湾機能がすぐ平時に戻るとは限りません。

金融市場要因としては、原油安によってインフレ懸念がやや和らぎ、米国株は小幅ながら過去最高値圏で引けました。市場心理・ポジション調整では、ホルムズ海峡リスクを買っていた短期筋が、和平期待を受けて一斉にポジションを落としたと見られます。

この動きは一時反応か

今回の下落は、一時的なリスクプレミアムの剝落が中心です。Brentが94ドル台、WTIが88ドル台まで下がったことで、相場の見た目はかなり落ち着きました。しかし、米国とイランの合意はまだ正式に確認されておらず、地域の緊張やホルムズ海峡の完全再開には不確実性が残っています。

構造的な原油安に移るには、正式合意、船舶通航の安定回復、在庫減少の停止が必要です。特に米EIAの週間石油統計は、米国祝日の影響で5月28日米東部時間に延期されており、日本時間の朝時点ではまだ最新の在庫反応を十分に織り込めていません。

日本への影響

日本にとって、Brentの100ドル割れはガソリン価格や電気代、物流コストへの上昇圧力を和らげる材料です。原油価格が90ドル台半ばまで下がれば、輸入コストの面では一息つけます。ただし、円安やタンカー運賃、保険料の高止まりが残れば、国内のガソリン価格にすぐ反映されるとは限りません。

また、日本は中東産原油への依存度が高いため、ホルムズ海峡の安全確認が進まない限り、価格が一時的に下がっても供給不安は残ります。家計にとっては「原油安で安心」ではなく、「100ドル割れが続くか」を確認する段階です。

明日の注目点

明日は、Brentが94ドル台で下げ止まるか、WTIが90ドルを回復できるかが焦点です。あわせて、米国とイランの和平協議が正式合意に近づくのか、ホルムズ海峡の通航が実際に増え続けるのか、そして延期されたEIA週間石油統計で在庫減少が続くのかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、和平期待の見出しではなく、実際に原油と石油製品が市場へ戻るかで決まります。

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