金価格週報 2026年7月第1週|金相場は5週ぶり反発、弱い米雇用統計とドル安が追い風に

今週の金価格は5週ぶりに反発。弱い米雇用統計、米金利、ドル円、中央銀行需要を整理し、来週のFOMC議事要旨の注目点を解説します。

今週の金価格はどう動いたか

2026年6月29日から7月3日の金価格は、週前半に一時3,900ドル台まで下げた後、週後半に大きく反発しました。ドル建て金スポット価格は週初の4,079.21ドルから週末の4,175.03ドルへ上昇し、騰落率は約2.3%の上昇です。主因は、弱い米雇用統計を受けた米利上げ観測の後退、米金利低下、ドル安です。ドル円は週中に162円台まで円安が進んだ後、161円台へ戻しました。来週はFOMC議事要旨、米金利、ドル円、金ETFの資金フローが焦点です。

価格データで見る一週間の流れ

対象期間:2026年6月29日から2026年7月3日
週初の金価格:4,079.21ドル
週末の金価格:4,175.03ドル
一週間の騰落幅:プラス95.82ドル
一週間の騰落率:約2.3%上昇
週中高値:4,195.51ドル
週中安値:3,942.19ドル
確認時点:2026年7月4日 日本時間
参照価格:ドル建て金スポット価格、XAU/USD
補足価格:米金先物8月限は7月3日に4,186.80ドル付近
価格参照元:Myfxbook、Reuters

本記事では、MyfxbookのXAU/USD日足データを基準に、6月29日の始値を週初価格、7月3日の終値を週末価格として計算しています。6月30日には一時3,942.19ドルまで下げましたが、7月2日と3日に買い戻しが強まり、週末には4,175ドル台まで戻しました。

Reutersは7月3日、金スポットが4,174.21ドルまで上昇し、4週続落後の週間上昇に向かったと報じています。米金先物8月限も4,186.80ドルへ上昇しました。参照する価格指標によって数値に小幅な差はありますが、今週の金相場は「5週ぶり反発」と見るのが自然です。

金価格を動かした主な材料

今週の金価格を動かした最大の材料は、7月2日に発表された米雇用統計です。6月の非農業部門雇用者数は5万7,000人増にとどまり、Reuters調査の市場予想11万人増を大きく下回りました。この結果を受けて、9月の米利上げ確率は66%から54%へ低下し、利息を生まない金には追い風となりました。

金は利息を生まない資産であるため、米金利が上昇する局面では相対的に不利になりやすく、米金利が低下する局面では買われやすくなります。今週は、弱い雇用統計をきっかけに米金利とドルが下がり、金価格の反発を後押ししました。

一方で、週前半はドル高と利上げ観測が残り、金価格は4,000ドルを一時下回りました。つまり、週全体としては「前半は売り、後半は雇用統計を受けて買い戻し」という流れでした。

米金利の影響

米10年債利回りは、弱い雇用関連データを受けて低下しました。Barron’sは、雇用関連の発表後に10年債利回りが4.505%から4.461%へ低下したと伝えています。米金利の低下は、金を保有する機会費用を下げるため、金価格の支えになりやすい材料です。

今週の重要な点は、米金利の水準そのものよりも、利上げ観測が後退したことです。市場は9月の利上げ確率を引き下げ、金市場では「高金利がさらに強まる」という警戒がやや和らぎました。これが、週後半の金価格反発につながりました。

ただし、米金利は依然として4%台半ばにあります。金価格が本格的に上値を伸ばすには、利上げ観測の後退が一時的なものにとどまらず、米金利の低下が続くかを確認する必要があります。

ドルと為替の影響

米ドル指数は、週末にかけて下落しました。Reutersは、弱い米雇用統計を受けてドル指数が週間で0.5%下落し、100.83付近になったと報じています。ドル建てで取引される金は、ドル安になると他通貨の投資家にとって相対的に買いやすくなるため、金価格の支えになりやすくなります。

Investing.comの米ドル指数先物データでも、6月29日の100.877から7月3日の100.605へ低下しています。週中には101台を維持する場面もありましたが、雇用統計後のドル安が金相場の反発を後押ししました。

ドル円は、週中に162円台後半まで円安が進んだ後、週末には161円台前半へ戻しました。Investing.comのUSD/JPYデータでは、6月29日の161.95円から7月3日の161.37円へ小幅に低下しています。Reutersも、円が40年ぶり安値圏から161円台へ戻したと伝えています。

日本の読者にとっては、ドル建て金価格だけでなくドル円の確認が欠かせません。今週はドル建て金価格が上昇した一方、ドル円は週末にやや円高方向へ戻ったため、円建て金価格の上昇はドル建てより少し抑えられました。

地政学リスクと安全資産需要

地政学リスクは、今週も金価格の背景材料でした。中東情勢をめぐっては、米国とイランの和平協議やホルムズ海峡の通航をめぐるニュースが続き、原油価格やインフレ見通しにも影響しました。Reutersは、米雇用統計を受けて金価格が上昇した一方、世界市場では地政学リスクとエネルギー価格の動向も引き続き意識されたと報じています。

金は安全資産として見られやすい一方、地政学リスクが金価格を必ず押し上げるわけではありません。原油高を通じてインフレ懸念が強まれば、米金利上昇につながり、金には逆風になることもあります。

今週は、安全資産需要そのものよりも、米雇用統計を受けた米金利低下とドル安が主役でした。地政学リスクは下支え材料ではありますが、短期の値動きを決めたのは米国の経済指標と金利見通しだったといえます。

中央銀行と金ETFの動き

中央銀行需要は、金価格の中期的な支えとして引き続き注目されます。World Gold Councilは、中央銀行が5月に金をネットで41トン買い増したと公表しました。Reutersも、中央銀行が5月に金準備を41トン増やしたことを報じています。

一方、金ETFや貴金属ファンドでは資金流出も見られます。Reutersは、7月1日までの週に金・貴金属ファンドから18.5億ドルが流出したと伝えています。短期的にはETFの資金流出が上値を抑える可能性があるため、金価格を見るうえでは中央銀行需要とETFフローを分けて確認する必要があります。

つまり、今週の金価格は短期では米雇用統計とドル安に支えられましたが、中期では中央銀行の金購入が下支え材料、ETF資金流出が注意材料という構図です。

円建て金価格はどう見ればよいか

円建て金価格は、ドル建て金価格とドル円の掛け合わせで動きます。今週はドル建て金価格が約2.3%上昇した一方、ドル円は週初の161.76円前後から週末の161.37円前後へ小幅に円高方向へ動きました。そのため、円建て金価格の上昇率は概算で約2.1%となりました。

週初の円建て参考価格:1グラムあたり約2万1,200円
週末の円建て参考価格:1グラムあたり約2万1,700円
一週間の騰落幅:1グラムあたり約450円上昇
一週間の騰落率:約2.1%上昇

週末の計算方法:4,175.03ドル ÷ 31.1035 × 161.37円
円建て参考価格:1グラムあたり約2万1,700円

この数値は、国際価格と為替を使った概算です。国内小売価格、消費税、手数料、販売店価格とは一致しません。実際に三菱マテリアルの公表する国内金価格では、2026年7月3日の金地金Web小売価格が1グラムあたり2万3,953円、前営業日比552円高となっています。

日本の読者にとっては、ドル建て金価格が上がっても、円高が進むと円建て金価格の上昇は抑えられます。反対に、ドル建て金価格が横ばいでも、ドル円が円安方向に動けば円建て金価格は上がりやすくなります。今週は金価格の上昇が主因で、ドル円はやや上昇を抑える方向に働きました。

来週の注目ポイント

来週の最大の注目点は、FOMC議事要旨です。Reutersは、7月6日から10日の週は米経済指標が比較的少ない一方、6月FOMCの議事要旨が重要材料になると伝えています。市場は、FRBが利上げ観測をどこまで維持するのか、あるいは弱い雇用統計を受けて慎重姿勢を強めるのかを確認することになります。

米金利も引き続き重要です。10年債利回りが4.4%台で低下基調を保てば、金価格には支えになりやすいでしょう。一方、FOMC議事要旨でインフレ警戒や利上げ姿勢が強く示されれば、米金利とドルが再び上昇し、金価格の重荷になる可能性があります。

ドル円は161円台で推移しており、日本の読者にとっては円建て金価格を左右する大きな材料です。日本当局は為替市場を注視する姿勢を続けており、Reutersは日本の財務相が円相場をめぐり米国当局と緊密に連絡していると報じています。円安が続けば円建て金価格の支えになりますが、介入警戒による急な円高にも注意が必要です。

その次の週には、米CPIとPPIも控えています。BLSの公表予定では、6月の米CPIは7月14日、PPIは7月15日に発表される予定です。来週の金価格は、FOMC議事要旨を受けた金利見通しと、翌週の物価指標をにらんだ動きになりそうです。

まとめ

2026年6月29日から7月3日の金価格は、週間で約2.3%上昇しました。週前半は4,000ドル割れ目前まで売られましたが、弱い米雇用統計を受けて米利上げ観測が後退し、米金利低下とドル安が金価格の反発を後押ししました。

円建て金価格も概算で約2.1%上昇しました。ただし、週末にドル円がやや円高方向へ戻ったため、ドル建て金価格ほどの上昇率にはなりませんでした。国内公表価格では、7月3日の金地金Web小売価格が1グラムあたり2万3,953円となっています。

来週は、FOMC議事要旨、米10年債利回り、米ドル指数、ドル円、金ETFの資金フローを確認することが重要です。特に、弱い雇用統計を受けた利上げ観測の後退が一時的なものかどうかが、金価格の見通しを左右しそうです。

本記事は市場情報の整理を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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