原油市場日報 2026年5月7日

原油価格は、前日の高値圏から急落しました。Brentは101ドル台、WTIは95ドル台まで下がり、最大の理由は米国とイランの和平期待です。ただし、ホルムズ海峡の通航正常化がまだ確認されたわけではなく、日本のガソリン価格や物流コストにとっては「安心」よりも「荒い相場の始まり」と見るべき局面です。
きょうの値動き
米国時間5月6日の原油市場では、Brent先物が1バレル101.27ドルで取引を終え、前日比8.60ドル安、下落率は7.83%でした。WTI先物も95.08ドルまで下落し、前日比7.19ドル安、下落率は7.03%です。取引中にはBrentが一時100ドル近辺まで下げる場面もあり、原油市場は一気に「供給危機の買い」から「和平期待の売り」へ傾きました。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。米国とイランが和平合意に近づいているとの報道を受け、ホルムズ海峡の封鎖や通航制限が緩むとの期待が広がりました。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の急所であり、ここが再開に向かうだけで、原油価格に乗っていたリスクプレミアムは一気に剝がれやすくなります。
一方で、需給面はむしろ引き締まりを示しています。EIAによると、5月1日までの週の米商業用原油在庫は230万バレル減少し、ガソリン在庫も250万バレル、留出油在庫も130万バレル減りました。つまり、今日の下落は「原油が余ったから下がった」のではなく、地政学リスクの後退と市場心理の反転が主因です。
金融市場要因としては、原油安がインフレ懸念を和らげ、株式市場には追い風になりました。市場心理・ポジション調整では、直前までホルムズ海峡リスクを買っていた短期筋が、和平報道をきっかけに一斉に利益確定へ動いたと見られます。
この動きは一時反応か
今回の下落は、短期的には大きな反応ですが、構造的な原油安に変わったとはまだ言えません。イラン側は米国案について慎重姿勢も示しており、合意内容や実際の通航再開は確認途上です。Brentが101ドル台まで下がっても、平時の水準に戻ったわけではありません。
したがって、現時点では「一時的なリスクプレミアム剝落」と見るのが妥当です。ホルムズ海峡の船舶通航が増え、在庫減少も落ち着けば原油価格はさらに下がりやすくなります。一方、協議が破談すれば、Brentは再び110ドル方向へ戻る可能性があります。
日本への影響
日本にとって、原油価格の急落はガソリン価格や電気代への上昇圧力を和らげる材料です。ただし、Brentがまだ100ドル台にあること、円安が重なれば輸入コストが下がりにくいことには注意が必要です。祝日明けの日本では、エネルギー関連株には逆風、航空・運輸・小売には追い風として意識されやすい値動きです。
明日の注目点
明日は、Brentが100ドルを割り込むか、WTIが95ドル台を維持するかが焦点です。加えて、米国とイランの和平案に対する正式反応、ホルムズ海峡の実際の通航量、EIA在庫減少の継続性を確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、見出しの和平期待だけでなく、実際にタンカーが動き、原油と石油製品が市場に戻るかで決まります。

