原油市場日報 2026年7月8日

原油価格は、きょう朝時点で急反発しました。Brentは74ドル台、WTIは70ドル台を回復し、米国がイラン産原油販売の一時容認を取り消したことに加え、ホルムズ海峡周辺で船舶攻撃が報じられたことが買い材料になりました。日本にとっては、ガソリン価格や物流コストの上昇圧力が再び意識される局面です。
きょうの値動き
米国時間7月7日の原油市場では、Brent先物が1バレル74.16ドルで取引を終え、WTI先物は70.44ドルで引けました。いずれも3%超の上昇となり、取引終了後も買いが続きました。Brentは一時75ドル台半ばまで上昇し、前日までの「供給回復で原油安」という流れにブレーキがかかった形です。
なぜ動いたのか
主因は地政学です。米国政府が、イラン産原油の販売を認めていた一時的な一般許可を取り消しました。これは、米国とイランの和平交渉が続くなかで大きな方針転換であり、市場はイラン産原油が再び市場に出にくくなる可能性を織り込みました。
さらに、ホルムズ海峡周辺で複数の船舶攻撃が報じられたことも原油価格を押し上げました。Reutersは、カタールのLNG船がイランのドローン攻撃を受けたとの報道や、サウジ船籍タンカーの損傷を伝えています。ホルムズ海峡は原油・LNG輸送の急所であり、ここで船舶リスクが再燃すると、実際の供給量以上に保険料や運賃へ不安が広がります。
需給面では、OPECプラスの増産や湾岸産油国の輸出回復が本来は下押し材料です。ただし、イラン産原油の制限と船舶攻撃が同時に出たことで、短期的には「供給が本当に安定して戻るのか」という疑問が強まりました。金融市場要因としては、原油高がインフレ懸念を再燃させ、米長期金利の上昇や株式市場の重しにもなりました。
この動きは一時反応か
今回の上昇は、一時的なヘッドライン反応の色が濃いです。Brentが74ドル台、WTIが70ドル台に戻したとはいえ、6月前半の中東危機相場に比べれば価格水準はまだ低く、戦争プレミアムが完全に復活したわけではありません。
ただし、構造的な原油安に入ったとも断定できません。EIAの最新週報では、米商業用原油在庫は4億840万バレルで、5年平均を約7%下回っています。ガソリン在庫も5年平均を約7%下回っており、在庫面にはまだ余裕がありません。供給回復期待で価格は下がりやすい一方、ホルムズ海峡リスクが出ると反発しやすい相場です。
日本への影響
日本にとって、Brentの70ドル台前半は本来なら安心材料です。しかし、ホルムズ海峡の船舶リスクが再燃すれば、タンカー保険料や輸送費が高止まりし、原油価格の低下が国内のガソリン価格に反映されにくくなります。
さらに円安が続いている場合、ドル建て原油価格が下がっても、円換算の輸入コストは下がりにくくなります。ガソリン価格、電気代、航空運賃、食品や日用品の物流費を見るうえでは、Brentの水準だけでなく、円相場とホルムズ海峡の安全性をセットで確認する必要があります。
明日の注目点
明日は、Brentが75ドル台に定着するか、WTIが70ドル台を維持できるかが焦点です。加えて、米国のイラン産原油販売許可取り消しが和平協議にどう影響するか、ホルムズ海峡周辺の船舶攻撃が続くか、そして米EIA週間石油統計で在庫減少が続くかを確認する必要があります。原油価格が今後どうなるかは、供給回復の数字と、地政学リスクが再び海運を止めるかで決まります。
